Arc UltraにはeARC/ARC対応のHDMI端子を備えているため、TVやネット配信端末と接続することでサウンドを再生できる。サウンドバーなので、これは当たり前といえば当たり前かもしれない。
そして本製品は音楽用のワイヤレススピーカーとしての機能も有している。というよりも、元々Sonosのスピーカーはストリーミング(音楽配信)サービスとの深い統合が魅力なので、その特徴を引き継いでいると考えるの方が正しい。
音楽を再生する際は、Bluetooth接続とWi-Fi接続による方法が用意されている。ものがある。Wi-Fi接続時はAppleの「AirPlay 2」の他、Sonosアプリの操作によって本体がストリーミングサービスに直接アクセスして再生する方法も選べる。いずれにしてもSonosアプリでシームレスに利用可能だ。
対応するストリーミングサービスは幅広く、「Apple Music」「Spotify」「Amazon Music」はもちろん、海外のサービスを中心にインターネットラジオにも対応している。接続できるサービスが「空間オーディオ」「ハイレゾ音源」に対応する場合も、そのまま再生可能だ。もちろん、複数サービスを同時に登録しておき、使い分けることもできる。
Sonosアプリでは、複数のサービス、あるいは自宅内のファイルサーバ上の音楽を串刺し検索して再生する機能もある。「Amazon Alexa」やSonos独自の音声アシスタント「Sonos Voice Control」との連携によるハンズフリー操作も可能だ。
元々、Arc Ultraはシアター向けに音場設計が行われているため、空間オーディオで配信される音楽の再生体験は良好だ。音作りの面でも、音楽配信サービスを再生する際の音作りを変えているのか、より心地よく音楽を聴かせるようにチューニングされている。
また通常のステレオ音源を「空間オーディオ化」する設定も用意されており、その場合はサラウンド用スピーカーを接続していれば、部屋の中を音楽で満たすような信号処理が入る。
さてサウンドバーという製品は、本質的にはPCと組み合わせて使うものではない。最近ではeARC非対応のHDMI出力をeARC対応端子に分離する装置もあるため、やろうと思えばPCなどを本機につなぐ方法はあるが(MacならAirPlay 2経由での接続も可能)が、本機はいわゆる「ニアフィールド」向けに設計されているわけでもない。
PCと組み合わせて使うなら、Era 100(直販価格3万2800円)あるいは「Sonos Five」(直販価格7万9800円)を2台用いたステレオ構成にして、ディスプレイの両脇に置くほうがいいだろう。Sonos Fiveなら、アナログ音声入力もある。
しかし、Sonosのシステムには自宅内のサウンドシステムをネットワークで統合できること、拡張できる柔軟なシステム、そしてネット上のストリーミングサービスとの相性の良さが大きなメリットだ。コンピュテーショナルオーディオによる取り組みもユニークで、Hi-Fi的な純度の高い音を求めるのでなければ、投資に対して得られる体験レベルは高い。
Sonos Arc Ultraがリビングにあれば、書斎に設置した別のSonosスピーカーと連携も容易で、いずれ買い増しなどで余剰スピーカーが出た場合には、スピーカーをサラウンド用に使うことで拡張してもいい。
構成には柔軟性があるので、例えばポータブルスピーカー「Sonos Roam 2」(直販価格2万5800円)をサラウンド用に2台用意して、必要な時に後ろにおいて使うなんてことも可能だ。
単体で14万9800円というArc Ultraの価格設定は、単体のサウンドバーとしては高価格帯だが、音質だけを考えても競合に対して十分に上に立つパフォーマンスを備える。優れたウーファーの再生能力と、Trueplayによるチューニングで、15万円前後のシステムでは頭一つ抜けた体験を得られる。
加えて、Sonosが最近発表したワイヤレスヘッドフォン「Sonos Ace」との連携による新たなユーザー体験の提案も興味深い。
Arc Ultraで映画視聴中にボタン1つでヘッドフォン出力に切り替えられ、しかもAceに最適化した仮想音場処理とヘッドトラッキングで、違和感なく往復する。
背景にある技術は興味深いが、それを体験するための仕掛けは、存在をあまり意識させないところはSonos製品のメリットだ。
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