ファイル消失バグ騒動から停止状態だった「Windows 10 October 2018 Update(1809)」の再配信もスタートし、Microsoftが想定している年2回の配信サイクルがようやく正常化しつつあるように見える。
10月初旬に、October 2018 Update配信直前におけるWindows 10のバージョン別シェアについて紹介したが、それから2カ月が経過してシェア状況はどうなったのだろうか。
Windows 10のバージョン別シェアについて最新データを公開しているのは、本連載でもお馴染みのAdDuplexだ。同社が公開した「AdDuplex Report for November 2018」によれば、2018年11月時点でWindows 10のバージョン別シェアでは「April 2018 Update(1803)」が89.5%でトップとなっており、9月時点からの差分は-0.1ポイントだ。
一方、従来であれば配信から1カ月半が経過したOctober 2018 Updateは40〜50%程度の水準までシェアが上昇していると思われるが、同時点でのシェアは2.8%にとどまる。配信再開から2週間時点での集計だが、過去の例を比較してもかなりスロースタートだと言えるだろう。
大きなトラブルを経験した直後であり、Microsoftやデバイスドライバを含むアップデートを提供するメーカー側も配信に慎重になっていると推測され、実際のロールアウト対象となっているデバイスは実はそれほど多くないのかもしれない。その上、各所でトラブル情報を聞き、自身で設定が可能なユーザーはアップデートタイミングをわざと遅らせている可能性もあり、シェアの増加はもう少し時間がかかるのだろう。
企業向けのアップデート配信が間もなくスタートするので、おそらく2019年初頭には40〜50%の水準に達していると思われるが、この頃には既に「19H1」こと次期大型アップデート(1903)の姿が見え始めている。そのため、今回のアップデートに関しては9割近いシェアに到達することなく、次代のアップデートへと代替わりしている可能性が高いと筆者は考えている。
いずれにせよ、今回のOctober 2018 Updateでのトラブルは、単にアップデート配信が1カ月半遅れたという事実にとどまらず、ユーザーとMicrosoftの両方の意識に遺恨を残したのではないだろうか。
特に、ユーザーには「最新アップデートはやはり危ない」という印象を改めて抱かせたことで、今後Windows 10の「Windows as a Service」による年2回の定期アップデートの徹底が難しくなり、さらに複雑化するアップデートのサポートポリシーで企業担当者の判断を誤らせる結果にならないことを祈りたい。
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