米Intelは11月28日(米国時間)、同社のプラットフォームを利用するユーザー向けに「Intel Graphics Drivers」の最新版にあたる「バージョン25.20.100.6444」の提供を開始した。第6世代Core(Skylake)以降のCPUに統合されたグラフィックス(Intel HD Graphicsなど)をサポートする。
このアップデートでの最大の注目点は、Microsoftの「Windows Modern Driver」に対応した初のIntel製ドライバという点だ。
Windows Modern Driverは別名「Universal Windows Driver(UWD)」とも呼ばれ、Windows 10に導入された「Universal Windows Platform(UWP)」をベースとした新しいデバイスドライバ仕様として、Microsoftが2018年春から導入試験を重ねてきたものだ。
同時期に開発が進んでいた「Redstone 5(RS5)」こと「October 2018 Update(1809)」で初めて導入され、本来であれば10月初旬の同アップデートの一般公開に続いて提供されるはずが、諸処のトラブルで1カ月半以上遅れての登場となった。
ちなみに、今回のIntelのドライバアップデートでは、動作するゲームに応じて設定を最適化する「Automatic Game Tuning Feature」の機能強化が行われ、「Fallout 4」など新たに12のゲームが対応タイトルに追加された。また、PCが動作中にゲームが新たに追加されても再起動せずに認識を可能とする「Rescan」ボタンが新たに設けられ、利便性が向上している。
UWDについて参考になるのは、Microsoftが2018年4月28日付けで公開している「Getting Started with Universal Windows drivers」という文書だ。
それによれば、「ドライバ開発者は、組み込み向けからタブレット、デスクトップPCまで、複数の異なるデバイス種別を横断して動作する単一のドライバパッケージを作成できる」としており、主にドライバの配布方法に手を入れた仕組みであることが分かる。
Windows 10のOctober 2018 Update(1809)以降、またはWindows Server 2019以降のOSではUWDの利用が推奨されており、今後はIntelだけでなく多くのデバイスメーカーが追随すると推測される。
UWDのパッケージは、こうしたマルチデバイス環境でのインストールに対応できる「“ユニバーサル”INFファイル」の他、KMDF、UMDF 2、WDM(Windows Driver Model)といったバイナリファイルで構成される。この他、特定の環境下で動作するアプリ(ツール)などを含む。
一般に、ドライバは基本となるデバイス(コンポーネント)を開発するメーカー(IHV)が作成し(「ベースドライバ」と呼ばれる)、これを当該デバイスを搭載する最終製品を出荷するPCメーカー(OEM、システムビルダー)が検証を行い、その後にユーザーの手元に届けられる。異なるケースもあるが、一般的なメーカー製PCでの提供フローはこのようになっている。
UWDの場合もこの基本的な流れは変わらないが、IHVが作成したベースドライバは、対応デバイスを搭載するWindows Insider Program(Microsoftのユーザー参加型開発プログラム)参加者のWindows 10 Insider PreviewがインストールされたPCに配布され、広範な動作テストが行われる。検証が済んだドライバはOEMの手元へと渡り、個別のPCシステムが持つ固有の設定向けにアレンジが行われた後、エンドユーザーに届けられる。
まとめると、IHVが作成するベースドライバはプラットフォーム全体を通じて共通化され、その最終的な配布パッケージの検証はOEMが責任を持つことになる。そして実際の配布はWindows Updateを通じて行われ、エンドユーザーの体験としては「Windows Updateさえ適用していれば、PCが常に最新状態に保たれる」という状態になる。
今回のケースでいえば、Intel GraphicsのベースドライバをIntelが用意し、PCメーカーによってはこれを含んだ形の配布パッケージを用意する場合もある。エンドユーザー視点でいえば、一度UWD化されたIntelドライバを導入してしまえば、後はWindows Updateを通じてドライバが自動アップデートされるというわけだ。
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