メインストリームモデルも「PCI Express 5.0」が当たり前に――SSDの最新動向を探るCOMPUTEX TAIPEI 2025(1/3 ページ)

» 2025年06月04日 12時00分 公開
[すまさITmedia]

 5月23日(台湾時間)まで開催された「COMPUTEX TAIPEI 2025」では、SSDを始めとするフラッシュストレージ関連の製品やパーツ(コンポーネント)を展示するブースも多数見受けられた。

 この記事では、コンシューマー(個人)向けフラッシュストレージ関連製品/パーツの主なメーカーの動向をレポートする。

SSDコントローラーメーカーの動向

 SSDは、主に「コントローラーチップ」と「NANDフラッシュメモリ」で構成される。どちらもSSDのパフォーマンスを左右する重要な要素で、少数かもしれないがどのメーカーの製品を採用しているのか意識している人もいる。

 今回のCOMPUTEX TAIPEIでは、コントローラーチップのメーカーがいくつかブース出展していたので、その展示の様子を見てみよう。

Phison Electronics

 台湾に本社を構えるPhison Electronicsは「CES 2025」で発表した新型コントローラーチップ「PS5028-E28」を展示の中心に据えていた。

 PS5028-E28はPCI Express 5.0対応のハイエンドSSD向けコントローラーで、最大8チャンネルのNANDを接続できる。従来モデル(PS5026-E26)における発熱問題への根本的な対処を施しつつ、性能のさらなる向上を果たしたことが特徴だ。

リファレンスデザイン PS5028-E28を搭載するM.2 Type 2280 SSDのリファレンスデザイン

 本製品は製造プロセスをTSMCの12nmから同社の6nmと微細化した。これが、発熱の抑制と性能の向上の両立に貢献したという。平均消費電力は8.5Wで、ランダムリード/ライトは最大で3000K IOPSと、競合製品(Silicon Motion SM2508:最大2200K IOPS)を上回る。展示ではSM2508を搭載するSSDとの消費電力比較も行われていた。

デスクトップPCでの結果 「Ryzen 7 9700X」を軸に組み立てられたゲーミングデスクトップPC(マザーボードはASUSTeK Computer製の「ROG CROSSHAIR X870E HERO」)によるリファレンスSSDのベンチマークテスト結果。こうして見ると、書き込み性能は若干控え目なように思える。
MSIのゲーミングノートPC MSIのゲーミングノートPC「Raider GE78 HX 14VGG」によるリファレンスSSDのベンチマークテスト結果。先のデスクトップPCと比べるとライト性能は向上したが、ランダムリードは遅めだ。消費電力比較(オレンジ:Phison/青:Silicon Motion)では、SM2508の仕様やファームウェアの影響を考慮する必要があるため参考程度に捉えるのが適切だろう
仕様一覧 Phison ElectronicsのPCI Express 5.0対応SSDコントローラーの仕様一覧(製品概要書を参考に作成)

Silicon Motion

 米国と台湾を拠点とするSilicon Motion(SMI)は、メインストリームSSD向けの新型コントローラーチップ「SM2504XT」をメインに据えて展示していた。

 本製品はPCI Express 5.0 x4対応で最大4チャンネルのNANDを接続できる。コストパフォーマンスを重視する観点からキャッシュメモリ(DRAM)レス仕様となっており、Phison Electronicsの「PS5031-E31T」が競合商品となる。

Silicon Motion SM2504XT(左)と、その上位製品となる「SM2508」(右)の展示

 製造プロセスはTSMCの6nmで、CPUコアは上位製品の「SM2508」の4基から3基に削減している。アクティブモードの消費電力は最大2.4Wで、ファンレス運用も可能だ。

デモボード SM2504XTを搭載するM.2 Type 2280 SSDのデモカード
カード一覧 上位製品となるSM2508を搭載するSSDは、さまざまなメーカーから発売される。この展示の右下に意味深な空間があるが、筆者は「日本(三重県四日市市)で製造した自社製NANDを使用する、S社のSSDが入るはずだったのでは?」と予想している
仕様 Silicon MotionのPCI Express 5.0対応SSDコントローラーの仕様一覧(ソリューションカタログを参考に作成)

 少し変わったところとして、Silicon MotionはUSB4 Gen 3 x2対応のポータブルSSDコントローラー「SM2324」を展示していた。ポータブルSSDは内部にM.2 SSDを搭載している製品も多いが、本製品を使うことで(基板の設計こそ必要となるが)よりコンパクトで高速なSSDを実現しやすくなる。

 TSMCの12nmプロセスで製造されており、最大で4チャンネルのNANDに対応する(容量ベースでは最大32TB)。シーケンシャルリード/ライト速度は最大毎秒4000MBだ。

 本製品はTSMC 12nmプロセスで製造されており、USB Power Delivery 3.1コントローラーも内蔵している。追加のチップを用意することなく、ケーブル1本で高電力供給が可能なポータブルSSDを実現可能なことも魅力だ。

概要 SM2324のスペック概要
デモボード SM2324を備えるポータブルSSDのデモ基板。かなりコンパクトであることが分かる
ベンチマーク SM2324搭載デモ基板(約2TB分のNANDを搭載)のベンチマークテスト結果と、デバイスマネージャーの表示。USB4接続の場合は、しっかりとNVMeプロトコルのSSDであると認識されている

InnoGrit

 米国に本拠を構えるInnoGritは、PCI Express 5.0対応SSDコントローラー「Tacoma PC IG5666」を展示していた。

 本製品を搭載するSSDは、既に台湾のTeam Groupなど、複数のメーカーで採用されている。しかし、新製品の発表/披露がなかったせいか、他のコントローラーチップメーカーと比べると展示は控え目な印象だった。

搭載製品 Tacoma PC IG5666を搭載するサンプルSSD
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