本機に付属するペンはいくつか弱点がありますが、パームリジェクションは先述の通り、付属の手袋やアプリの設定で緩和できます。
軽い筆圧が不自然なのも、どれくらいの筆圧から反応するかを覚えて、ブラシの設定を工夫すれば、同じ設定のまま薄くも濃くも塗り分けでき、グラデーションを付けて塗ることもできます。
本機は遅延は普通ぐらいに見えましたが、仮に多少の遅延感があったとしても慣れてきたりします。
ところが、ジッターはそうではないです。斜め線が曲がる現象として現れはしますが、実際にはカーソルが不規則にずれる問題です。次の動画で、ペン先とカーソルの位置関係を観察してみてください。
線が曲がるからといってブラシに手ブレ補正を設定しても、取得座標が不正確なこと自体が解決されるわけではなく、ハッチングや文字の書きづらさ、始筆の不自然さという形で残りますし、手ブレ補正をつけすぎたブラシは表現したいニュアンスや字画をうまく拾えなくなってしまいます。
これは細かく丁寧に描こうとするほど下手になる、厄介な問題です。本機に限らず、iPadなどでも厚手のフィルムやサードパーティーのペン先を使っているとセンサーの誤差が増えがちなので、この問題が起きていないか確認しておいてください。手ブレ補正を切った細いブラシで、斜め線を何本も引くだけです。
ここまでの結果から、線画が重視される制作がそもそもターゲットじゃないのではという気はしますが、一応いつもの絵で実用度のチェックもしておきます。
まず線画ですが、やはりジッターが障害になりました。そこそこ手ブレ補正を上げたブラシでも始筆の乱れが起こりやすく、試し描き以上のチェックは断念しました。
アンチグレアガラスのサラサラで一貫性がある摩擦は好ましいのですが、これが描線の正確さにつながらないのはもったいないです。
彩色については、先に述べた通りブラシ設定を調節して少し慣れた後は、概ね普通にグラデーションをつけて塗ることはできました。軽い筆圧への反応が自然じゃないのは昔のタブレットではよくある話で、それでも制作に使えていたわけなので、致命的な問題ではないです。
また、充電器に接続していると、付属の手袋を着用していてもパームリジェクションのミスが起こりました。静電気センサーは繊細なので、接続状態や保護フィルム、湿気、はたまた左手でボディーを触っているかどうかぐらいのことでタッチパネルの癖が変わるというのは本機に限らずよくあることです。
全体として、文字や線画を重視せず、大きなブラシでカジュアルに描いたり色で遊んだりするには良いかな、ぐらいの使用感でした。
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