ついにApple全デバイスが同じ操作体系に 共通の“皮膚”と“神経”を取り入れて新たな時代へ踏み出したAppleWWDC25(4/4 ページ)

» 2025年06月11日 00時00分 公開
[林信行ITmedia]
前のページへ 1|2|3|4       

Vision Pro:空間コンピューティングを加速させるアップデート

よりリアルになったペルソナになり、ついに不気味の谷を超えたように感じるのは筆者だけだろうか
Liquid Glassデザインのウィジェットは美しく、これを自宅の壁に貼り付けて表示させられるのは、なかなか心地よさそうだ
ロジクール(Logitech)のApple Vision Pro専用ペン「Muse

 WWDCに集まったデベロッパーをもう1つ驚かせたのが、Apple Vision Proの大きな進化だ。Apple Vision Proを被って行うビデオコールで表示される自分の分身、ペルソナの顔はよりリアルになり、遂にこれまでどこかに残っていた不気味さを感じないレベルに進化し、より自然にビデオ通話ができるようになっている。

 天気予報や再生中の音楽などを表示するLiquid Glass仕様の美しいウィジェットを、部屋の好きな場所に配置して楽しめる機能も魅力的だ。

 それに加えて「PlayStation VR2 Senseコントローラ−」も使えるようになり、より高度なゲームが楽しめるようになる。

 だが、それ以上に楽しみなのが米Logitech(ロジクール)の「Muse」というペンデバイスだ。空間に正確に線を描けるペンで、これを使って精密さが要求されるプロダクトデザインや建築設計の3Dデータを目の前で実物大で確認しながら修正を描きこんだり、オンラインビデオで共有できるようになったりすることで、Apple Vision Proの実用性が一気に向上する可能性が高い。

丁寧な技術開発こそがAppleの誇り

 ネットを見ていると、Apple Intelligenceの進化が他社のAIの進化と比べて遅いといったことを批判する声もたまに見かけるが、私は今回のWWDCでの発表内容を見て正直安心した。最先端のAI技術を我先にと搭載するのは、GoogleやOpenAIなどの技術主導の会社がやることであって、Appleがやるべきことではない。

 Appleはシリコンバレーの中では数少ないユーザーをちゃんと未来に向かって前進させているかを深く考え、慎重かつ丁寧に技術を実装する存在であり、だからこそ技術好きの人だけでなく、技術に疎い人でも安心して利用することができる製品ブランドを築き上げてきた。

 ネットではWWDC前からAppleのAI採用の遅れをヒステリカルに批判する声がたくさん上がっていたが、そういった声に踊らされることなく、ブレずに丁寧に自信を持って提供できる機能だけを慎重に1つずつ発表していく姿勢には好感が持てる。

 特にAIのような技術は、依存度が高く下手をすれば我々の創造性を置き換えたり、創造する楽しさを奪ってしまったりしてしまう可能性すらある(どうしても最新のAI機能が使いたい人は、MacやiPhoneにChatGPTやClaudeのアプリをインストールすればよい。ただそれだけのことだ)。

 これに対して、Appleが先端AI活用の代わりに採用したスポットライトとショートカット機能の組み合わせなどは、ユーザーの思考を邪魔せず、手足の延長としてより多くの操作をより効率的にすることで、創造性をむしろ拡張していく機能に感じた。

 願わくば、WWDCに参加している世界中から集まった開発者たちが、この丁寧に(そして美しく)作るというAppleの価値観に共鳴してApp Intentを増やし、AI経由の操作が増える時代の下地作りを加速してくれることを祈っている。

Apple WWDC25 2026 OS バージョン デザイン言語 アップル Liquid Glass Tahoe WWDC25でのティム・クックCEO
前のページへ 1|2|3|4       

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

アクセストップ10

2026年02月12日 更新
  1. 6500円でデスクに新風! Thermalrightの小型液晶がヒット、背景にメモリ高騰? (2026年02月09日)
  2. 新ARグラス「XREAL 1S」を試す 解像度と輝度が向上、BOSEサウンドで没入感アップ “3D変換”も大きな魅力 (2026年02月10日)
  3. 元Appleのジョナサン・アイブが手掛けるフェラーリ初EVの内装デザイン公開 物理ボタンとデジタルの融合 (2026年02月10日)
  4. マウス社長が3日間“フル参戦”した理由とは? 大阪・梅田のど真ん中で起きた“eスポーツ×地域振興”の化学反応 (2026年02月11日)
  5. ワコムが安い? 驚きの2025年を振り返り メモリ高騰におびえる2026年の「自作PC冬眠」と「次世代CPU」への期待 (2026年02月12日)
  6. ソニーが「Blu-ray Discレコーダー」の出荷と開発を終了 代替の録画手段はある? (2026年02月09日)
  7. 32GBメモリが6万円切り、2TB SSDは3.3万円から 価格上昇が続くアキバで見つけた高コスパパーツ (2026年02月07日)
  8. ASRock、“CPU起動トラブルを解決”するSocket AM5マザー用のβ版BIOSを公開 (2026年02月10日)
  9. キンタロー。も驚くほぼ「入力ゼロ」の“次世代”確定申告 2026年の弥生は3つのAI活用とデスクトップ製品強化を両輪に (2026年02月12日)
  10. 梅田の街がeスポーツに染まった3日間――「Osaka GeN Scramble」で見えた、地域とデバイスが融合する最新イベントの形 (2026年02月10日)
最新トピックスPR

過去記事カレンダー

2026年