Microsoftは6月26日(米国太平洋夏時間)、Windowsで不具合が発生した際のレジリエンス(回復力)を強化する取り組みを発表した。その取り組みの一環として、2025年夏後半をめどに、「Windows 11 2024 Update(バージョン24H2)」のいわゆる「ブルースクリーン」を仕様変更することを明らかにした。
Windowsは、システム全体に悪影響を与えうる致命的なエラーが発生すると、未然にシステム全体を強制停止することがある。このようなエラーは「STOPエラー」と呼ばれている。
ブルースクリーンは、STOPエラーでシステムが強制停止した場合に表示される画面だ。「Windows 8」以降は表示がシンプルになり、「Windows 10」以降ではスマートフォン/タブレット向けにMicrosoftのサポートサイトに誘導するための二次元コードも表示するようになった。
ブルースクリーンが表示されると、Windowsはメモリの一部(または全部)のデータを「クラッシュダンプ」としてシステムストレージに書き込む。それが終わると、システムは自動的に再起動する(※1)。デバイスドライバやソフトウェアの開発者は、クラッシュダンプを手がかりにするとドライバやソフトウェアの不具合を解析可能だ。
(※1)設定を変更するとダンプの書き出し後にシステムを完全停止する(再起動しない)ことも可能
現行のブルースクリーンは「Windows 8」から採用された簡素なデザインを踏襲しつつ、二次元コードでMicrosoftのサポートサイトに誘導するようになっている。STOPコードはSTOPエラーが発生した原因を示すもので、コードによっては原因となったプログラム(デバイスドライバ/アプリ)のファイル名も一緒に提示してくれる。写真の「KERNEL_MODE_HEAP_CORRUPTION」は、カーネルモードのヒープメモリ領域が何らかの理由で破壊されると発生する。なお、日本語以外の多くの言語のブルースクリーンでは顔文字も出る今後、Windows 11 2024 UpdateではSTOPエラーにおけるクラッシュダンプ収集を高速化する技術が導入される。多くの場合、今後は2秒以内にクラッシュダンプの収集が完了するという。
今回のブルースクリーンの仕様変更は、クラッシュダンプ収集の高速化に伴って行われる。具体的には、従来は青い画面だったものを黒い画面(ブラックスクリーン)に改め、顔文字(日本語ロケールでは非表示)、説明文の大半と二次元コードが削除される。
ブルースクリーンの仕様変更と併せて、Windows 11 2024 UpdateではSTOPエラーを繰り返した際の挙動についても仕様が変更される。
STOPエラーを繰り返した場合、Windowsは自動的に「回復環境(Windows RE)」を起動することがある。回復環境では、ローカルにあるWindowsのイメージを使って壊れた(不具合を起こした)スタートアップファイルの修復を試みるが、うまく行かないことも多い。
そこで今回、回復環境において「QMR(Quick Machine Recovery:迅速なマシンの回復)」という仕組みが導入される。現在、この仕組みはWindows Insider Previewの「Devチャネル」「Betaチャネル」のユーザー向けにテスト提供中だ。
QMRが有効な場合、STOPエラーを繰り返すとWindowsは「クラウド修復」を試みる。これは起動プロセスでWindows Updateにアクセスし、STOPエラーに対する解決策の有無を検索する。解決策が見つかった場合は「自動修復」に移行し、修復用のファイルをWindows Updateからダウンロードし、適用を試みる。もしも修復方法が見つからなかった場合は、手動操作で従来の「回復オプション」を表示可能だ。
なお、QMRの標準設定はエディションによって以下の通り異なる。
また、QMRがインターネットにアクセスする際に無線LAN(Wi-Fi)を使う場合、現時点ではアクセスポイントのセキュリティ(暗号化方式)は「WPA」または「WPA2」のパスワード方式に限られる。セキュリティにWPA3を使っている場合、あるいはWPA/WPA2でもパスワード以外の認証方法を使っている場合は非対応なので注意したい。
QMRによる修復のフロー。STOPエラーを繰り返すと、起動プロセスの段階でインターネットに接続し、修復方法の有無を調べる。修復方法が見つかった場合は修復ファイルをダウンロードして適用を試みる。見つからない場合、インターバル設定が有効な場合は一定時間を置いてから再度修復方法の検索に入る(手動で中断することも可能)
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