CF-SC6のキーボードは、従来のLet'snoteシリーズと同様の非アイソレーションレイアウトを採用している。キーを区分ける枠がなく、キートップが一面に並ぶスタイルは近年あまり見ないが、独自の「リーフ型」キートップによって隣接キーに触れにくくすることを意図している。
しかし、評価機でのタイピング中に、キートップの縦寸が短くて窮屈に感じることもあったのは否めない。左右方向の幅は標準的な19mmであるものの、縦方向が16mmとやや詰まっているため、タッチ位置が微妙にズレやすく、意図しないキーをたたいてしまう場面が少なくなかった。
また、縦方向のつまりとは関係なく、非アイソレーションレイアウトの影響か、特に「Enter」キーの左に位置する「[」キーを文書入力中に誤って押してしまうことが多く、作業のテンポが乱れる要因となった。
キーストロークは約2.0mmとモバイルノートとしては十分な深さを持ち、しっかりとした押し戻しがある。反発力はやや強めでなので確実にタイプしている感触が得られる。ただし、長時間タイピングする用途においては、この反発力の強さが指の疲労につながる可能性もありえる。
さらに、深くキーを押し下げたタイミングで指が隣接キートップの端に接触するケースが“多発”して相当なストレスとなった。これも非アイソレーションレイアウトに起因するといえるだろう。
Let's noteの特徴である円形ホイールパッドをCF-SC6でも採用している。長年Let's noteシリーズを使ってきたユーザーにとっては従来の使い勝手がそのまま維持されるのはメリットとなるだろう。一方、他機種からの移行ユーザーは上下スクロール操作や画面四隅の操作で発生するかもしれない違和感を克服する必要がある。
CF-SC6は、Let's note伝統の頑丈設計を継承しながら、軽量かつコンパクトなボディーに新たな補強構造を盛り込むことで、モバイルノートPCとしての信頼性をさらに高めている。特に、天板とキーボード面、そして内部シャシーに複合的な補強を施した。
天板には、シリーズの象徴ともいえる「ボンネット構造」を継承しつつ、CF-SC6では新たな補強設計を導入した。特に、液晶パネルモジュールの側面全体を保護する「新嵌合構造」を新たに開発することで、従来は底面方向のみに限定されていた「76cm落下試験」への対応を、26方向全てに拡大している。これは、狭額縁液晶が持つ側面方向の弱点を克服し、モバイル利用におけるあらゆる落下リスクに備えた設計といえる。
さらに、シャシー全体の構造強度を最大化するため、シミュレーションに基づいてネジの配置や本数を最適化した。マグネシウム合金の厚みや形状も細部まで見直すことで、剛性を確保しながらも質量増加を最小限に抑える工夫を施している。
これらの構造的改良により、CF-SC6は「MIL-STD-810H」規格相当の落下振動耐性も実現しており、従来以上にハードな利用環境に耐え得る丈夫さを備えている。
外装の頑丈設計に加え、内部構造にも耐久対策を施している。SSD裏面にはたわみ防止板を設けて接点不良を抑制し、振動時のビス抜けを防ぐ凸部構造や基板を守るフローティング構造も採用した。さらに、マザーボードのハンダ付け工程では酸化を防ぐ窒素充填オーブンを用いるなど製品の劣化を防ぐ対策も施している。
放熱設計も大幅に見直し、“風の通り道”を確保するためにファンブレードを1mm薄くするなど、内部構造をミリ単位で最適化した。インテルと共同開発した電力制御技術と組み合わせることで、薄型ボディーでも高負荷時の性能を引き出しつつ、膝上でも安心して使える温度管理を実現している。
CF-SCには、パナソニック コネクトが独自に開発した「AIデバイスマネージャー」を導入している。ただし、その機能は音声関連に限定されており、他のLet's noteシリーズで導入実績がある「離席検知」や「のぞき見防止」といったユーザーセンシングに対応した機能は対応していない。
AIによる自動調整や最適化は、主にWeb会議における音声の「話す」「聞く」の明瞭化に特化している。
音響機能面では、AIノイズ抑制と音響補正技術により、タイピング音や周囲の雑音をリアルタイムに低減する。特に屋外やカフェなど雑音が避けられない環境でも、自分の声がクリアに伝わるようしている。また、本体左右に配置したボックス型スピーカーは小型ボディーのCF-SC6でも音抜けが良く、相手の声を明瞭に聞き取れる。Web会議やオンライン授業の利用頻度が高いユーザーにとって、ストレスなく双方向の会話が成立するのは大きなメリットとなるだろう。
加えて、コンパクトなボディーに、日本のビジネス現場で依然として求められている実用性を損なわない豊富なインタフェースを搭載している。USB 3.1 Type-CポートはUSB PD(Power Delivery)とDisplayPort Alternate Modeに対応し、充電や映像出力を1本のケーブルで済ませられる。USB 3.0 Standard-Aポートも2基用意して“旧来”の周辺機器も利用できる。
映像出力はHDMI端子を標準で載せているので、プレゼンや外部ディスプレイ接続が容易になった。RJ-45も備えているので、会議室や出先でも有線LANをアダプターなしで利用できる。
無線接続はWi-Fi 6E(IEEE 802.11ax、6GHz帯)に対応する。Wi-Fi 5(IEEE 802.11ac)やWi-Fi 6(5GHz帯)に比べ、混雑の少ない帯域で高速かつ安定通信が可能だ。Bluetoothは5.3対応で、ワイヤレス機器とのペアリング性能と省電力性の両立が図られている。
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