Pixel 10シリーズの目玉機能は、やはりこれでしょう。
Googleは「Pixelsnap」と呼んでいますが、無線充電の標準規格「Qi」の中の「Qi2」に準拠した無線充電機構です。なぜこれがMagSafe互換かというと、Appleが参画してMagSafeの技術を取り入れてQi2規格が作られたからです。
実際には、その後の差別化も進んでいるでしょうし、高速充電などの全ての機能が使えるとは限らないと思います。とはいえ、こういった経緯がある以上は、磁気吸着の機能や最大15Wぐらい(Pixel 10 Pro XLはQi2.2対応なので最大25W)の普通の充電速度は期待してもよさそうです。
これまで、既にMagSafeアクセサリーに投資している人にも、Pixelに乗り換えたり追加したりした場合に、慣れた周辺機器が無駄にならないメリットがあります。
このQi2規格、AppleがMagSafeを独占しなかったのも不思議ですが、2023年に出来てから対応端末がほぼ現れず、Android勢が無視しているようにすら見えたのが不思議でした。メジャーなモデルで対応を強く訴求し始めたことですし、今後サポートするモデルが増えていくことを期待したいですね。
実のところ、Webブラウザや一般的なアプリを触っているとそう変わったように感じないPixel 10 Pro XLですが、心臓部の「Tensor G5」チップは大きく変わっています。Googleいわく、
とのことです。Google Tensorは、これまで一貫してサムスンが製造してきましたが、初めてのTSMC製です。
個人的にはサムスンの半導体事業はうまくいってほしいのですが、近年はTSMCに後れを取る状況が続いていました。そしてTSMCの先端プロセスといえば、iPhoneやAndroidの性能トップを競っているチップ群がそろって採用しており、その意味では同じ土俵に乗ったとも言えます。ただし、トリッキーなのはここからです。
上のようなそうそうたる性能向上に、「なぜGPUの伸びを教えてくれない?」と引っかかりを感じた人もいるでしょう。実際に、Pixel 10シリーズの発表ではGPUやゲーム性能の向上をアピールするシーンを見かけませんでした。
そして、GPUはこれまでの「ARM Mali」シリーズから変更され、「Imagination Technologies」のもの(PowerVRの流れをくむモデル)が採用されているようです。
このGPU自体は、プレミアムデバイス向けの高い性能に位置付けられていますが、Imagination TechnologiesのGPU自体がAndroid端末で多く採用されているわけではなく、採用されたとしても低価格機が中心という状況だったので、かなり珍しいケースだと思います。
アプリやゲームの最適化などはこれから進んでいくことを思うと、当面は性能を評価する段階にないと思います。とはいえ一応、ポピュラーで重そうな4つのゲーム(鳴潮/学園アイドルマスター/崩壊:スターレイル/ゼンレスゾーンゼロ)を遊んでみたところ、デフォルト設定で遊んでいる限りですが、端末が熱くなり過ぎたりアプリが落ちたりするような場面には遭遇しませんでした。
とはいえ、表示が乱れているように見えるシーンもあるにはありました。
TSMC製造とのことで、伝統的に弱点だったゲーム用途で他社にキャッチアップするのをこの目で見たかったのですが、あまりそういう方向性でもなさそうです。
そもそもゲーム最優先の人はPixelを選ばない、と言われれば、そりゃそうだではありますが……。
Tensor G5はG4に対してTPUが最大60%パワフルということで、Googleとしてかなり端末内のAI機能に入れ込んでいるのが分かります。チップはあるコストの中で作れる面積は限界があります。その中で、CPU/GPU/TPU/信号処理や入出力など、何を優先するかを考えながら使える面積が割り振られていき、そこから得られる性能もトレードオフの傾向があります。
Pixelスマホは以前から、ベンチマークテストの結果やゲームのパフォーマンスが他社ほどでないという批判をよく見かけますが、今回も何というか、覚悟してやっているように感じます。
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