OSDメニューについて見ていこう。OSDメニューはスタンド背面にある物理ボタンを使って操作する仕組みだが、タイムアウトでメニューが非表示になるのが非常に早く、項目を探し切れずに消灯してしまうケースが多い。デフォルト値を確認すると何と「3秒」だった。これまで数多くのモバイルディスプレイを見てきたが、ここまで早く消灯するOSDメニューはお目にかかったことがない。
これは設定を「10秒」以上に変更すれば済むのだが、実はこのOSDメニュー、「戻る」に相当するボタンおよびショートカットがなく、OSDメニューを短時間で消灯させることで、操作を間違ったら最初からやり直すようにし、実質的に「戻る」がないのをカバーしていると見られる。そのため、消灯までの時間を長くすると、かえって不便になる場合がある。どうにもふに落ちない仕様だ。
また、メニューを表示せずに項目の上下ボタンを押すと表示されるショートカットは、一般的なモバイルディスプレイでは「明るさ」「音量」に割り当てられているのがほとんどだが、本製品はそれほど利用頻度が高いとは思えない「入力切替」「モード切替」に割り当てられている。カスタマイズできればそれで構わないのだが、この割り当ては固定で変更できない。これも解せないところだ。
このあたり、何らかの確固たるポリシーがあっての設計かもしれないが、使っている限りはそうした狙いは伝わってこず、一般的なモバイルディスプレイの“作法”からはみ出しているように見える。単純に使いづらいのはもちろん、他社製品に慣れたユーザーが本製品を使った場合、操作体系の違いに戸惑うこともありそうだ。
以上ざっと使ってみたが、従来モデルの3300/11をベースに、給電を専用端子からUSB Type-Cへと置き換えたモデルで、その他は細部の変更のみというマイナーチェンジモデルの位置付けであることは間違いなさそうだ。
個人的にはOSDメニューの使い勝手がどうにも慣れないのだが、そこさえ我慢すれば縦置き対応、パススルー充電対応といった昨今のトレンドをしっかり押さえており、大きな欠点も見られない。スタンド一体型でありながらVESAマウントに対応していることに魅力を感じる人もいるかもしれない。
既に6月から販売が開始されており、実売価格は3万円前後だ。15.6型でタッチ操作も非対応であることを考えると、ややお値段は高めという印象だが、5年保証が付属することを考えると、十分にお買い得だろう。現時点では従来モデルも併売されており、そちらは2万円台半ばまで価格が下がっているので(ちなみにそちらも5年保証が付属している)、購入を検討するにあたっては従来モデルも比較対象に加えたいところだ。
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