「今年こそは運動を」。そう思いながら、毎年1月が終わる。そんな人に向けるかのようにAppleは1月21日、日本でApple Fitness+の提供を開始した。日本語字幕付きで日本語の音声対応だ。YOASOBIを聞きながらピラティスができ、山下智久さんや渡辺直美さんと“一緒に散歩”でき、マンション暮らしでは欠かせない「階下の住人」に配慮したワークアウトまで用意されている。
ジムに行くことを否定するわけではないが、行かない人や行けない日でも、運動の習慣を途切れさせない。Appleらしい補完型の健康アプローチが、ようやく日本で本格始動となる。
Appleのフィットネスへの取り組みは、2015年に登場したスマートウォッチ「Apple Watch」で始まった。日常の行動を可視化する「アクティビティリング」、運動量を記録する「ワークアウト」、心拍や睡眠を含む「ヘルスケア」機能だ。これらを10年以上かけて積み重ねてきた先に誕生したのが、今回日本語化されたFitness+だ。
Fitness+は「頑張る人」だけでなく、運動が続かなかった人、始めるきっかけを作れなかった人にも優しい設計になっていることが、コンテンツ構成や操作画面、トレーナーの演出にも表れている。
一体、どんなサービスなのだろうか。
Apple Fitness+を始めるのに必要なのは、iPhoneだけだ。iPhoneにインストールされている「フィットネス」アプリを開くと、画面下に新たに「Fitness+」という項目が追加されていることに気が付く。
これを開いて初期設定を行った後、適当なワークアウトを選んで「開始」ボタンを押すと、すぐさま4K品質の美しい動画でエクササイズの指導が始まる。コンテンツは英語で作られているが、字幕表示ができるのに加え、日本語吹き替え音声も用意されている。エクササイズはいずれも5〜45分の間の長さで、5分/10分/20分といった短めのものが多いので気軽に始められる。
器具も着替えも特別な準備も不要、とにかく始める心理的ハードルを低く抑えている。
ワークアウトは、ヨガ/ピラティス/筋力トレーニング/HIIT(高強度インターバルトレーニング)/ダンス/サイクリング/ローイング/トレッドミルなど12種類をそろえる。また、年齢も性別も文化的背景も異なる28人のプロのトレーナーによるガイドも用意されている。
全て4K品質の映像で、Appleがこのために作ったカリフォルニア州サンタモニカのフィットネススタジオで撮影されているという。
毎週新しいエピソードが追加され、どのワークアウトにも動きを軽減したモディフィケーションと、より強度の高いオプションが同時に提示される。
心拍センサーを搭載し、防水にも対応した最新のイヤフォン「AirPods Pro 3」を併用すると、ガイド画面に心拍の情報が追加されるが、理想はApple Watchを併用することだ。
Apple Watchを装着すると、iPhoneの画面にリアルタイムで変化する心拍数/消費カロリー/アクティビティリングが表示される。数値は競争をあおるのではなく、自分の状態を把握し、途中でやめにくくするための“伴走者”としての役割を果たしている。
また「iPad」を使えば、より大画面で動画ガイドを見ることが可能だし、「Apple TV」を併用すればさらに大画面で動画ガイドを見ることができる。
デザインの会社でもあるAppleらしく、Fitness+は単なる運動メニューの提供ではなく、生活の中に、無理なく運動が入り込む体験そのものをうまくデザインしている。
特にそれを感じさせるのが、音楽との連携だ。Fitness+において音楽は、単なる雰囲気作りのBGMではない。動きを後押しし、リズムを作り、ユーザーの集中を維持するための“駆動装置”として位置付けられている。
Fitness+はApple Musicと深く統合されており、ワークアウトごとに専用のプレイリストが設計されている。テンポ/曲調/盛り上がりの波形まで考慮され、運動強度と音楽体験が同期するよう構成されている点が特徴だ。
好きな曲が流れると、人は思っている以上に身体を動かせる。後述するトレーナー陣も繰り返し言及していたように、音楽は限界を少し先へと押し出す力を持つ。Fitness+では、その効果を偶然に任せず、サービス設計の中核に組み込んでいる。
ワークアウト後には、使用されたプレイリストをApple Musicでそのまま聞き続けることもできる。運動の時間と日常の音楽体験が分断されず、連続した体験として残る。この“余韻”まで含めて設計されている点にAppleらしさがある。
このように、Fitness+において音楽は重要な構成要素の1つだが、今回の日本でのサービス開始に合わせて、これまでの米国でのサービスで提供していた英語の曲に加えてK-POPの曲を大幅に追加し、藤井風やAdo、BE:FIRST、RADWIMPSといった日本のアーティストの曲も追加された。
中でも目玉となっているのが、特定アーティストの楽曲だけで構成されたワークアウトシリーズ「アーティストスポットライト」で、日本向けコンテンツ提供者の第1弾としてYOASOBIが選ばれた。
YOASOBIの2人は「没入できるエクササイズ体験になるのではないかと思います」というメッセージを寄せた。
Fitness+のエクササイズの中には、著名人の1人語りを聞きながらウォーキングを楽しむ「ウォーキングの時間(Time to Walk)」というコンテンツも用意されているが、こちらでも日本でのサービスローンチを記念して、俳優の山下智久さんとタレントでインフルエンサーの渡辺直美さんによるコンテンツが提供される。
誰かと一緒に歩いている感覚を生み出し、散歩を孤独な行為から対話的な体験へと変えるコンテンツとなっている。
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