三井住友信託銀行は、死後事務委任契約と金銭信託などをセットにした「おひとりさま信託」を2019年12月から提供している。業界でも草分けのこのサービス、コロナ禍を経て需要は変わったのだろうか?
自分の死んだ後のことは、具体的にシミュレーションするほど不安が積み重なっていく。お金や借金、持ち物や感情面のフォローなどだ。身近なところに家族がいれば面倒なもろもろを託すこともできるが、1人で暮らしていて、相続人になる人との距離がある場合は現実的には頼ることが難しい。
そうした不安を埋め合わせるサービスとして、2019年の暮れにスタートしたのが三井住友信託銀行の「おひとりさま信託」だ。同社の金銭信託と、一般社団法人安心サポートによる死後事務委任契約をセットで提供している。
同社に300万円以上の預金があることが条件となるが、50万円以上から契約できる「生命保険タイプ」を選ぶ方法もある。
死後事務委任契約とは、葬儀やお墓の希望、財産の処分といった死後のさまざまな事務処理を委任する契約のことだ。おひとりさま信託では、これらの事務処理に必要な費用が金銭信託でまかなわれる構造になっている。
一定額の財産を信託しつつ、死後にはその財産を元手にしていろいろな頼み事を実行してもらい、それらの費用を差し引いて残った残余財産は指定した相手(推定相続人や寄付先法人)に受け取ってもらうという建て付けだ。
死後事務委任契約の細かな指定は、専用のエンディングノート「未来の縁-ingノート」に契約者が記入した内容を通して行われる。訃報の連絡業務から葬儀や埋葬手続き、生命保険会社への連絡、家財等の整理、ペットの委ね方などを細かく指定でき、その中には、SNSアカウントの閉鎖やスマホの初期化といったデジタル遺品処理に関する項目もある。
より強い法的拘束力を求めるなら、金融機関側が遺言の作成支援や保管を行う遺言信託という手もあるが、遺言では財産にかかわらない細かな指示はできない(附言事項を添えることはできるが法的拘束力はない)。それゆえに、近年は同種のサービスを提供する金融機関も増えている。その草分けといえるのが、おひとりさま信託だ。
本サービスの提供開始からコロナ禍を経て6年超が経過した。その間に見えてきた真のニーズと、コロナ禍前後で変化した要素を同行に尋ねた。
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