AIによる生産性向上と創造性の発揮は一致しない──異例のキャリアを築く“いとうまい子”が語る、AI時代に人間が最後まで鍛えるべき“唯一の能力”とは?(3/4 ページ)

» 2026年04月24日 17時00分 公開
[山口恵祐,ITmedia]

AI時代、これから鍛えるべき能力は「好奇心」

 講演の締めくくりとして、いとうさんが「AI時代の仕事の力そのもの」として挙げたのが「好奇心」だ。誰もが「平均的にいいもの」を瞬時に作れる時代だからこそ、差がつくのは「何を問いにするか」「どの方向に意味があるかを選び、責任を持って決めるか」という人間の判断に集約される。

 いとうさんは、「AIが進化すればするほど、人間にしかできないことがはっきりしてくる。人間が担うべきは、違和感を見逃さないことや、面白いと思える好奇心を持ち続けることだ」と強調した。自身のキャリアにおいても、ロボット工学や生命科学への挑戦を支えたのは「ちょっと気になる」という好奇心の扉を開け続けた結果だと振り返る。

photo これからは好奇心が起点になる

 「未来の働き方とは、“AIに奪われない仕事”を探すことではない。AIがあるからこそ、面倒なことは全部任せればいい。不安ではなく自分たちができる価値に目を向けていけば、何も怖いことはない」(いとうさん)

 いとうさんは、テクノロジーを使いこなし、好奇心を燃料に学び続ける姿勢こそが、AI共生時代の本質であると締めくくった。

photo 未来の働き方とは、“AIに奪われない仕事”を探すことではないといとうさん

「道具」から「コンピューティング」へ、組織一体で挑む変革

 いとうさんに続いて登壇したNECPCの檜山太郎執行役員社長は、「PC to Computing 〜AIとデバイスの未来〜」と題し、同社の事業戦略とAI時代のデバイスの在り方について語った。

photo NECPCの檜山太郎社長(代表取締役 執行役員)

 檜山社長は冒頭、PCの役割が「30〜40年にわたる道具としての歴史から、全く別のもの(コンピューティング)に変わる」と強調した。同社は2025年4月、NEC本体から法人向けPC営業部門を統合し、開発/生産/販売/サポートを垂直統合した組織体制を構築したことで、顧客の潜在的な課題に迅速に応える体制を整えた。

photo NECの法人向けPC部門もNECPCへ移管

 市場動向については、AI関連投資が2030年に向けて現在の2〜3倍に拡大すると予測している。その投資の約75%が、データセンターでの「学習」から、デバイス側での「推論」へとシフトしていくとの見通しを示した。

 一方で、AI需要の急増による副作用にも言及した。学習用サーバへメモリ供給が優先されることや、あらゆるデバイスで推論用部品の需要が激増していることから、部品不足と価格高騰が継続していると指摘した。半導体ラインの増設には2〜3年を要するため、この傾向は当面続く可能性があると警鐘を鳴らした。

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