本機はノートPC向けCPUのAMD Ryzen AI 9 HX 470を採用している。12コア24スレッド、最大ブーストクロックは5.1GHzという、非常に強力なスペックを誇るプロセッサだ。
内蔵グラフィックスにはAMD Radeon 890Mを搭載しており、内蔵GPUでありながら、設定次第で快適なゲームプレイに十分耐えうる性能を備えている。
最近のAMD APUらしく、CPUと内蔵GPUに加えてNPUも統合されている。特に注目すべきは、このNPUが最大55 TOPSの演算性能を誇る点だ。これはCopilot+ PCの要件である40 TOPSを大きく上回っており、Windows標準のCopilot+ PC向け機能はもちろん、サードパーティー製のAI機能にも余裕をもって対応できる。
NPUを活用するソフトウェアのワークフローはまだ発展途上にあり、その性能をフルに使い切る場面は現状では限られている。しかし、これから数年先を見据えたAI PCとして捉えれば、NPU性能に余裕のある本機は非常に賢明な選択肢だといえる。
メモリについても触れておきたい。本機には32GBのLPDDR5X-8000がオンボードで実装されている。メモリ価格が高騰している昨今において、快適な動作を約束する大容量メモリを搭載したマシンを低コストで導入できる点は、決して見逃せないメリットだ。
GPU-Z(左)とCPU-Z(右)の表示。ノートPC向けのハイエンドモデルであるRyzen AI 9 HX 470を搭載しており、Copilot+ PCとしても十分活用できるパフォーマンスを秘めている外観やスペックの確認はこれくらいにして、各種ベンチマークテストを通して本製品の実力を詳しくチェックしてみよう。今回手元に用意したACEMAGIC F5Aと比較対象PCの主なスペックは以下の通りだ。
まずは3Dレンダリングを通じてプロセッサの地力を測定する「CINEBENCH 2026」の結果を見ていこう。なお、GPUテストに関しては、CINEBENCH 2026の最新バージョンにおいてテストが完走しなかったため、今回はプロセッサのパフォーマンスのみを測定している。
参考値としてIntel Core i7-14650HXを搭載したノートPCと比較している。結果は以下の通りだ。
スコアの差のみに着目すると、マルチスレッド性能は約4.6%向上、シングルコア性能は約4.4%向上、シングルスレッド性能は0.8%増と、その向上幅は一見すると小さく感じられる。
しかし、Intel Core i7-14650HXが16コア24スレッド、最大クロック周波数5.2GHzであるのに対し、Ryzen AI 9 HX 470は12コア24スレッド、最大クロック周波数5.1GHzにとどまる。物理的なコア数が少ないにもかかわらず、これだけのスコア差をつけたという事実は非常に高く評価できる。
加えて、Ryzen AI 9 HX 470は強力なNPUを備えているため、Copilot+ PCの機能を生かしたワークフローにも対応可能だ。本格的なAI PCとして活用できる明確な強みを持っており、到来するAI PC時代にまさにふさわしいプロセッサと言えよう。
続いて、現時点でトップクラスに描画負荷の高いゲームタイトルの1つ「Cyberpunk 2077」を用いてテストを行う。解像度をフルHD(1920×1080ピクセル)とし、画質プリセット「ウルトラ」および「レイトレーシング:ウルトラ」環境下にて、オンボードGPUと外部グラフィックスカード(eGPU)利用時の平均フレームレートを計測した。なお、eGPUにはGeForce RTX 5060 Ti 16GBをUSB4で接続している。結果は以下の通りだ。
Ryzen AI 9 HX 470に統合されているRadeon 890Mは、内蔵GPUの常識を覆すパフォーマンスを発揮することで知られているが、今回のフルHD・ウルトラプリセットの設定下でも平均31.76fpsという驚異的な結果をたたき出している。
レイトレーシングを有効化しないのであれば、あえてeGPUを追加する必要性を感じさせないほど優秀だ。しかし、レイトレーシングを有効化してリッチな映像美を楽しみたいとなると、さすがにRadeon 890M単体では荷が重い。
より臨場感のある環境で快適にプレイしたい場合は、USB4またはOCuLink経由でeGPUの導入を検討するとよいだろう。
それでは総評に移ろう。結論から言えば、ACEMAGIC F5Aは「ミニPCという枠を超え、メインマシンとして十全に活躍できる素性を秘めた、極めて賢い選択肢」である。
評価すべきポイントを整理しよう。まず、ミニPCでありながら十分な冷却性能を備え、そのコンパクトなボディーからは想像できないほどの高い拡張性を持つ点だ。USB4とOCuLinkの双方を搭載しているため、外付けGPUや高速なネットワークデバイスを用いて、用途に応じた柔軟なシステム構築が可能だ。
さらに、M.2 PCIe 4.0 NVMe SSDを最大3枚まで搭載できるストレージの拡張性も相まって、長期的な運用を強く見据えられる。
加えて、今後のAI PCとしての要件を余裕をもって満たすRyzen AI 9 HX 470を搭載している点も高く評価できる。PCパーツの価格高騰が続く現状において、最新の強力なパフォーマンスを備えつつもコストパフォーマンスに優れた本機は、これから数年先を見据えたメインマシンとして、十分に検討に値する優秀な1台だ。
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