本機の心臓部には前述の通り、ノートPC向けのIntel Core i5-13500Hが採用されている。昨今のトレンドである「AI PC」の観点で見ると、本機にはNPU(Neural Processing Unit)が搭載されていない。よってCopilot+ PCの要件を満たすような、最新の高度なオンデバイスAI機能を活用することはできない。
しかし、事務作業やホームユースを中心とするユーザーにとって、ローカル環境で強力なAI処理を必要とする場面は現状では限られている。AI機能にコストをかけるより、堅実な処理能力を安価に手に入れたいというニーズに応えられる、十分に賢い選択肢となるモデルだ。
また、システム面で特筆すべきなのはベアボーンキットを除く完成品構成には「Windows 11 Pro」のOEMライセンスが搭載されている点だ。
ホームユースはもちろんのこと、強固なセキュリティ機能やリモートデスクトップ機能などが求められるビジネス用途においても、別途OSをアップグレードすることなくそのまま実戦投入できる点は見逃せない強みだ。
外観や仕様の確認はこれくらいにして、ここからはベンチマークテストを通して本製品の実力を掘り下げていこう。Intel Core i5-13500Hが、現代の用途においてどの程度のパフォーマンスを発揮するのかを検証する。
なお、今回は比較対象として第12世代のIntel Core i9-12900HKを搭載したミニPCで測定したスコアも用意したため、ぜひ参考にしてほしい。
さまざまなアプリケーションを実行してシステム全体のパフォーマンスを測定する「PCMark 10」を用いて、実利用環境に近い形での実力を計測した。結果は以下の通りだ。
これらを比較してみると、前世代の上位モデルであるIntel Core i9-12900HK搭載機を、総合スコアで約5.8%上回る結果となった。
GPUの演算ユニット(CU)数が少ない分、グラフィックス関連のスコアでは若干のビハインドが見られたものの、総合力では旧世代の最上位クラスをしのいでいることが分かる。
この結果からも、GMKtec NucBox M3 Proがホームユースやビジネスユースにおいて十分すぎる性能を備えていることは明らかだろう。
結論から言えば、GMKtec NucBox M3 Proは「自身の用途を正確に見極めているユーザーにとって、費用対効果が極めて高い賢い選択肢」である。
最新の高性能CPU搭載モデルを選べば、複雑で重たい処理を素早くこなせるようになるのは事実だ。しかし、日常的な用途から大きく逸脱したオーバースペックな性能を持て余すことは、費用対効果の観点からは賢明な投資とは言いがたい。
Webブラウジングや高画質な動画視聴、Officeアプリの操作といった一般的な用途であれば、数世代前のCore i5-13500Hを搭載した本機でも十分快適に動作する。
高騰するPC市場において、価格を抑えつつも最大3画面の4K出力や2.5GbE対応の有線LAN搭載など、豊富なインタフェースを用意した「実用上の快適さ」が確保されており、さらにWindows 11 Proを標準搭載している点は高く評価できる。
自身の用途と合致するユーザーにとっては、過剰な投資を避けつつ満足度の高い環境を構築できる、魅力ある1台といえるだろう。
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