とはいえ、気になる点もいくつか存在する。1つ目は装着感だ。筆者の鼻の高さも影響していると思われるが、Lサイズのノーズパッドに交換してテンプルの角度を下げても、フレーム上部が視界最上部に干渉し、表示エリアの上端を遮ってしまう。
グラスを鼻筋のやや高い位置へ押し上げてフィットさせたり、ノーズパッドの奥への押し込み具合を調整したりすることで、ある程度解消はできた。次期モデルではBirdbath光学モジュールの表示位置がもう少し下方へ微調整されることを期待したい。
2つ目は作業性だ。正直なところ、本機はPCでのマルチタスク作業には向きづらい。滑らかな手ブレ補正機能はあるものの、視界追従(0DoF)の固定表示であるため、画面の四隅や外辺を注視するには眼球を動かさなければならない。画面下部のエリアを中心に注視するなら問題ないが、画面上部などを凝視し続けると目が乾き、疲労を感じやすい。
3つ目は、XREAL 1Sのようなウルトラワイド仮想ディスプレイ機能を持たないことだ。複数ウィンドウを並べた長時間のデスクワークを期待しているのであれば、肩透かしを食らうだろう。
最後は、XREALが専用デバイスとして販売している「XREAL Beam Pro」シリーズに非対応である点だ。Nebulaアプリだけでなく、Nebula OS自体にも対応していない。この点については今後のアップデートなどで対応されることを強く望みたい。
だが、この「0DoFの固定表示」という割り切りこそが、移動時に真価を発揮する。上位機種の3DoF機能(画面を空間に固定するモード)は、電車や飛行機内では加減速や旋回、トンネル通過時のセンサーの乱れにより画面が流れる「ドリフト現象」が発生しやすい。これはグラス用カメラ「XREAL Eye」を未装着の状態でも生じる課題だ。
その点、本機は頭の向きに画面が追従するフォローモードに特化しているため、乗り物が揺れたり旋回したりしても画面を見失わない。さらに手ブレ補正機能を有効にすれば微細な振動を吸収し、揺れる電車内でも非常に安定した映像が得られる。移動中にPCで単純作業を行ったり動画を楽しんだりする用途には最適のアイテムだ。
「シンプルな外部ディスプレイ」という特徴を持つ本機は、一部のSamsung Galaxy端末に搭載されているデスクトップ機能「Samsung DeX」と相性がバッチリだ。
専用アプリの起動を介さず、ケーブルを接続した瞬間にAndroidベースのデスクトップ環境が広がる。スマホをトラックパッド代わりに使い、YouTubeの全画面再生やWebブラウジングを大画面で楽しむ用途としては、これ以上なく手軽で快適な環境といえる。
xbx a01+は、若年層やARグラス初心者に向け、新ブランドを立ち上げてまで投入されたXREAL渾身(こんしん)のプロダクトだ。「安かろう悪かろう」ではなく、「必要な機能だけを厳選しつつ、その中で最大限に質の高い体験を提供する」という明確な意思が感じられる。
大画面を少しでも手軽に持ち歩きたいと思っているなら、手に入れておいて損のない1台といえるだろう。
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