iPhoneからAndroidへの移植も――ケータイアプリ組み込み事情ESEC 2009

» 2009年05月26日 16時25分 公開
[八木沢篤,@IT MONOist]


 2009年5月13〜15日の3日間、東京ビッグサイトで開催された組み込み関連展示会「第12回 組込みシステム開発技術展(ESEC2009)」。今年は、過去のESECではあまり見られなかったケータイ・アプリケーションの展示やデモンストレーションが少しずつ増えていた。

 その要因として考えられるのは、iPhoneやAndroidの登場。そして、App StoreやAndroid Marketなどのアプリケーション配布の仕組み・サービスの存在だろう。これら各サービスに多少の違いはあれども、このような土壌が整いつつあることは、アプリケーション開発者にとって追い風であり、また企業にとってもビジネスチャンスを生むきっかけになるのではないだろうか。

 ESEC会場でいま話題のiPhone/Android向けアプリケーションの展示・デモンストレーションを行っていたブースを中心に紹介していく。

 本稿は、製造業技術者向け情報サイト「@IT MONOist」ESEC2009特集ページに掲載された記事「ケータイアプリ事情−iPhoneからAndroidへの移植も」のダイジェスト版です。

5万5000ダウンロードを達成したiPhoneアプリをAndroidへ移植

 NID・ISは、iPhone用アプリケーション「GPS-R for iPhone」をAndroidへ移植。「GPS-R for Android」としてリリースし、ESECで展示・デモンストレーションを行った。

 GPS-Rは、iPhone向けにリリース(2008年11月)された「場所リマインダーアプリケーション」だ。ユーザーは同アプリケーションで目的地の地図を表示し、その地点で行うべき目的や通知方法、通知範囲、自動検索のON/OFFなどをあらかじめ設定しておく。そして、アプリケーションを起動した状態で目的地周辺(設定した通知範囲)に近づくと、アラーム音/バイブレーションで、登録した内容を通知してくれるというものだ。例えば、手紙の投函(かん)し忘れの防止や、電車・バスなどの乗り過ごしの防止などで活用できるという。「App Storeで無償提供しており、現在およそ5万5000ダウンロードに達している」(説明員)。

photophoto GPS-R for iPhoneの設定画面
photo Android版(左)/iPhone版(右)の地図表示画面

 今回移植されたAndroid版は、同社で行っていたAndroid勉強会のメンバを中心とした有志数名により開発されたものだという。「当初は、開発環境の構築手順やAndroid SDKに付属しているサンプルコードの理解からはじめていたが、そのうち『どうせやるならAndorid Marketに公開できるようなアプリケーションを開発してみよう』ということになり、iPhoneですでに提供していたGPS-Rを移植することになった」(説明員)。

Android標準メディアプレーヤを目指す

photo nswPlayerを起動した様子(動画再生リスト)

 日本システムウエアは、Android端末向けのマルチメディアプレーヤ「nswPlayer」の展示・デモンストレーションを行った(nswPlayer関連記事)。同製品はタブで、動画・音楽・画像などを切り替えられるのが特長で、H.264/AVC、MPEG-4、3GPP、MP3、AAC、AMR、PNG、JPEG、GIF、BMPなどのファイルフォーマットに対応している。なお、ESECではAndroid Marketに登録済みのものから若干のバージョンアップがなされた未公開バージョンが用意されていた。「ユーザーからのコメントを参考に、不足機能などの追加を順次行っている」と説明員。

 Android Marketに公開中の現行バージョン(無料)は、すでに約3万ダウンロードに達しているという。説明員は「標準のメディアプレーヤではシフトJISに対応していないので、日本語の楽曲名などが文字化けしてしまうことがあるが、nswPlayerであれば問題なく表示される。標準のメディアプレーヤには負けたくない」とその意気込みを語った。そのほか、画像編集機能として同社が開発した色覚補正アルゴリズムを組み込むなどの対応がなされていた。

iPhone/iPod touch向けDLNA対応モバイルプレーヤ、間もなく登場

 アルファシステムズは、M-DMP(DLNA v1.5 Mobile Digital Media Player)機能を実現するiPhoneおよびiPod touch向けアプリケーション「Media Link Player」の展示・デモンストレーションを行った。

 M-DMPとは、DLNAで定義されたモバイル機器向けの機能のこと。“DMP(Digital Media Player)”と付くようにコンテンツを保存し、ほかの機器へ配信する「DMS(Digital Media Server)」から提供されたコンテンツを再生するクライアントを意味する。

 同製品は、同社ミドルウェア「alpha Media Link SDK」(注)を用いて開発されたメディアプレーヤ。Wi-Fi経由で、ホームネットワーク上にあるDMSを最大8台まで自動検出・接続することが可能で、これらサーバが公開している動画(MPEG-4)、音声(MP3、AAC)、静止画(JPEG)コンテンツ(いずれも100Mbytesまで)を再生できるというもの。

photo 「Media Link Player」のデモンストレーションの様子

 展示会場では、同社の「地上デジ対応/HDコンテンツ配信サーバ開発プラットフォーム」に保存されている動画コンテンツを、Media Link PlayerをインストールしたiPod touchから呼び出し、再生させていた。「配信サーバ(DMS)は、DMP側の要求に応じて、保存してあるコンテンツを対象のDMP機器に合わせてリアルタイムトランスコードして配信している」(説明員)。

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