「こんなに進んだ日本のケータイが、なぜ海外で受け入れられないのか」――。携帯メーカーや通信業界が抱えるこの問題をさまざまな角度から検証しているのが、俗称“超ガラパゴス研究会”を名乗るIT国際競争力研究会だ。
この研究会では4月10日の発足以来、海外で受け入れられる潜在能力がありながら、海外進出に成功していない携帯/通信や情報家電、コンテンツ業界について、さまざまな業界の識者が多角的に検証し、問題の洗い出しや解決策についての討議を重ねてきた。
このほど、3回の議論を経て携帯/通信業界への提言がまとまったことから、委員長を務める慶應義塾大学 政策・メディア研究科 特別招聘教授の夏野剛氏が「通信業界への5つの提言」を発表。携帯端末市場が縮退し、新たな業界再編の動きも見られるなど、“待ったなし”の携帯/通信業界に、「ぜひ、耳を傾けて欲しい」(夏野氏)と訴えた。
「世界市場で存在感はないが、劣っているわけではない」――。これが、携帯/通信業界に対する最初の提言だ。ガラパゴスという言葉ばかりが取りざたされ、“日本の携帯は世界から孤立しており、あまり進んでいない”というイメージを持っている人もいるが、夏野氏は「決してそんなことはない」と自信を見せる。
同氏はゲーム機やエコカー、音楽プレーヤーなど、日本で生まれて世界に広がったものの多くが、最初は“日本でしか使われないのではないか、日本的で特殊じゃないか”といわれていたことを例に挙げ、携帯電話の世界も「3年〜5年遅れで海外が追いかけてくる、先行優位性がある市場ととらえることもできるのではないか」と説明。日本が孤立していることを悲観的にとらえるのではなく、前向きにとらえるのも必要という見方を最初の提言とした。
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