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» 2009年10月05日 00時10分 公開

3G通信内蔵の最先端デジタルサイネージ――COMELの「福岡街メディア」を見る神尾寿のMobile+Views(1/2 ページ)

“通信とリアルの連携型ビジネス”をいかに展開するかが重要視される中、3Gを内蔵したデジタルサイネージの展開で注目を集めているのがCOMELの「福岡街メディア」だ。このメディアの展開規模や広告効果などの現状と、今後の展開について聞いた。

[神尾寿,ITmedia]

 広告市場の縮退が見られる中、堅調に成長しているのが屋外広告市場(OOH:アウト・オフ・ホーム・メディア)市場だ。2007年時点の同市場規模は約4041億円であり、昨年のリーマンショック以降の逆風のさなかにあっても、さまざまな新広告媒体とともに堅調なペースで成長している。

 こうした屋外広告の中でも、最近の注目といえば「デジタルサイネージ」の進化と成長だろう。従来の壁面広告をデジタル化し、「表示広告点数を増やす」「動きのある広告表現で視認率を高める」といった目的で広がり、今では大型ビジョンから店頭の電子POPまでさまざまなタイプのデジタルサイネージを目にするようになった。

 そして、このデジタルサイネージの次の姿として脚光を浴びているのが、モバイル通信を内蔵したネット連携型である。これはデジタルサイネージ端末内に3G通信モジュールなどを内蔵し、センター側からコンテンツを配信。設置場所や時間帯に応じて、タイムリーに表示内容を変えることで広告効果を高めるというものだ。

 デジタルサイネージは今後どのように進化していくのか。今回のMobile+Viewsでは、デジタルサイネージ分野の中でも“通信対応”で先駆け、九州・福岡を拠点に多くのサービスを展開するCOMELの「福岡街メディア」を取材。デジタルサイネージ市場の今後について見てみる。

Photo 天神地下街の地下鉄駅付近のパネル。広告コンテンツだけでなく、乗り換え案内や時刻表も表示されている

福岡県内に500面。街全体をメディアにする

 COMELの「福岡街メディア」はその名のとおり、街全体をひとつの“メディア”と見立てて、デジタルサイネージ端末を大量投入したものだ。COMELではこれらデジタルサイネージ端末のことを「パネル」と呼ぶが、その数は福岡県内で約500面。福岡市内だけ見れば、385面とかなりの規模になる。

 「設置場所は私鉄やJR、市営地下鉄の駅付近や、バスセンターなど人が多く集まる交通拠点などを中心に、ドラッグストアやコンビニエンスストアなどの店舗前や店内にも設置しています。パネル数の多さ、(人が多く集まる場所にあるという)設置場所のよさが福岡街メディアの大きな特長になっています」(COMEL メディア本文メディア企画部部長の和久山大輔氏)

Photo 福岡街メディアの主な設置場所。生活者の行動導線にあわせて、さまざまな場所に設置されている

 COMELが用意するデジタルサイネージ端末は、42/40/32インチの3種類。どれもHD画質に対応しているほか、すべての端末が通信機能を内蔵していることが特長だ。

 「COMELの端末は、ほぼすべてにソフトバンクモバイルの3G通信モジュールが搭載されています。3Gを使っていない場所でもWi-Fiなどを使い、各パネルはすべて通信経由でセンターから制御されていることが特長です。

 我々はデジタルサイネージはインターネットの世界を『リアル(現実世界)』につなぐものだと考えており、(デジタルサイネージの特性である)ロケーション性と、インターネット連携によるリアルタイム性を組み合わせて新しいサービスを展開しているのです」(和久山氏)

Photo 福岡街メディアの効果検証データ。コンテンツの訴求力・運用ノウハウの高さにより、高い認知率と注目率を誇る。若年層と女性の認知度が高いのも興味深い

視認率の高いデジタルサイネージを運用するノウハウ

 こうした通信対応・インターネット連携のメリットは、福岡街メディアで扱われているコンテンツに現れている。福岡街メディアでは人目を集めるためのコンテンツと広告コンテンツを混合させて約15分ロールで放映している。この前者に、リアルタイム性の高いコンテンツやインターネット上のコンテンツを多数用意して、視認率を高めているのだ。

 「例えば、福岡という街で考えますと、高い訴求力になっているのが福岡ソフトバンクホークスのコンテンツです。最新の試合速報や順位表・ランキング、ニュース映像、試合スケジュールなどを(デジタルサイネージ端末で)詳しく配信しており、これは視認率を高める上で役立っています。

 ほかには、Yahoo!Japanやロイターのニュースコンテンツ、パネルの設置場所に応じて、食べログの近隣店舗の最新情報を掲載するなど、インターネットコンテンツの活用も積極的に行っています。

 こうした注目度の高いコンテンツにあわせて、広告コンテンツはパネルの設置場所や時間帯に応じて展開できるようになっています」(和久山氏)

 こうした訴求力やリアルタイム性の高いコンテンツの活用、福岡の人々の行動導線に沿ったパネル展開なども奏功し、福岡街メディアはデジタルサイネージながら高いリーチ率と視認率を実現した。リーチで見れば、1日約130万人、2週間で述べ1820万人の生活者にリーチ可能だという。

 「楽天リサーチに調査していただいたところ、福岡における福岡街メディアの媒体認識率は79%、広告注目率は53.9%という高い数字が出ました。認知属性で見ますと若年層が高く、とりわけ10〜20代の若い女性に注目していただいています」(和久山氏)

 こうした認識率や注目度の高さは、通信を使って人目を惹くコンテンツ運用をしているからこそである。和久山氏は「大規模なデジタルサイネージ端末を使い、メディアとしての認識率を高める。このコンテンツ運用ノウハウこそがCOMELの強み」だと話す。

Photo 福岡空港内のデジタルサイネージ端末。福岡を訪れたら、まず目に入るもののひとつだ
Photo 天神バスセンターも注目率が高い場所のひとつ
Photo ローソンや百貨店など店内設置のものも多い。これらは通常のコンテンツ/広告のほか、それぞれの設置店舗の情報も流している

Photo 福岡市役所にもデジタルサイネージ端末が設置されている。ここでは地域公共情報を中心にコンテンツが編成されている

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