“ゴミ溜めファイルサーバ”が“使える電子キャビネット”に――iPad対応の“手間なし”情報配信サービス

» 2011年12月20日 12時48分 公開
[日高彰、後藤祥子,ITmedia]
Photo 日本デジタルオフィス 代表取締役の濱田潔氏

 「企業のファイルサーバは、大量の文書でゴミ溜めのようになっているケースも多い。せっかくのデータも、日々の業務に効率よく使えなければデジタル化した意味がない」――こう話すのは、日本デジタルオフィス 代表取締役の濱田潔氏だ。

 同社は、誰でもどんなデバイスからでも社内データをストレスなく活用できる情報配信ソリューションの提供を目指す企業。これまで製品を営業する中で、せっかく導入したファイルサーバが、無秩序にデータを放り込むだけの単なる保管場所になっているのを目の当たりにしてきたという。

 本来、ファイルサーバは、個々の社員が持つデータを集約して使いやすい形に整理し、いつでも最新のデータを効率よく利用できるようにするのが理想の形。しかし、効率よく使えるようにするためのデータの編集や管理には手がかかり、対応が後回しになっているうちにゴミ溜め化していくケースも多いという。

 さらに最近では業務にiPadを導入する企業も増えており、ファイルサーバの重要性が増している。企業内データをiPadから扱えるようにするために導入するケースも多く、どうせ導入するなら目的の情報を引き出しやすく、iPad上で軽快に動作し、運用管理に手間がかからないものを求める声が高まっているという。

 日本デジタルオフィスが提供する情報配信システム「DO!シリーズ」は、こうした企業のニーズに応えることを念頭に置いて開発していると濱田氏。サービス自体は、社内データを保存して運用するためのファイルサーバと、サーバに登録した社内データをPC(Webブラウザ)やiOS端末(アプリ)、Android端末(アプリ)で活用するためのブラウザで構成されるシンプルなものだが、直感的に使えるようユーザーインタフェースに工夫をこらしている。面倒な操作を極力省き、触っているうちに使いこなせるような操作性を目指したという。

 濱田氏は、元造船会社のディーゼルエンジン技術者という異色の経歴の持ち主で、造船会社時代に工場向けのシステム開発を担当し、“誰でも使いこなせるソリューション”の重要性をたたき込まれたという。そんな同氏が手がける“誰でも直感的に使えるソリューション”とはどのようなものなのか。開発の背景と製品の特徴について聞いた。

面倒な作業は極力“自動化”、業務に専念できるファイル活用環境を

 ソリューションを開発する際に濱田氏が重要視したのは、面倒な作業を極力自動化することだ。社員の力は企業の業績を成長させるために使うべきで、社内データの管理や活用はシンプルに行えるよう配慮したという。

 例えば、社内データの共有や検索をしやすくするために、いちいち検索インデックスの作成やタグ付け、ファイルサイズやフォーマットの最適化などを手作業で行うのでは、実際に使えるようになるまでに長い期間がかかってしまう。また、せっかくファイルサーバに格納した業務データも、必要なものが探しづらかったり、どれが最新データなのかが分からなかったりしたのでは、デジタル化した意味がないと濱田氏は指摘する。

 社内データを扱いやすい形に変換するのはシステム側で自動で行い、ファイルサーバのデータは誰もが直感的に操作できるブラウザで扱えるようにする。資料の作成や日報の提出、データの利活用といった作業は技術を駆使して可能な限り自動化すべき――というのが濱田氏の考えだ。

 同社のデジタルデータ活用システムには、濱田氏の思想が色濃く反映されている。社内データはWordやExcel、PowerPoint、PDF、動画などのさまざまな形式のものをドラッグ&ドロップでファイルサーバに登録でき、登録と同時にシステム側でドキュメントの画像化や、全ての文字情報を抜き出した検索INDEXの生成、リンクの埋め込みなどを自動で行う。登録したデータは、社員が何ら手を加えることなく、業務に活用できる形になるというわけだ。

 ファイルサーバに保存されたデータは、ブラウザ上で紙の資料のようにページをめくったり、付箋をつけたり、ペンで書き込みを入れたり、テキストや写真でコメントを入れたり――といったことが可能。営業用データに顧客の反応などをコメントとして書き込めば、そのデータが自動でサーバに反映され、そのまま日報として活用できるという。ログ解析機能も備えており、取引先の担当者が、営業資料のどのページを何秒見たか、どこをクリックしたかといったデータも取得できるので、マーケティングデータとして活用できるという。

Photo PCからファイルサーバ内のデータを閲覧したところ。紙の資料のようにデータを扱える
Photo 同社のデジタルデータ活用システム「DO!BOOK」に登録されたデータ。元はPDFデータだが、サーバの登録時に同社の独自形式に変換され、より活用しやすい形になる。紙の本のようにパラパラとページをめくることができ、手書きでメモを書き込んだり、付箋を貼ったりできる
Photo 資料に打ち合わせ時の状況を書き込めば、日報として利用できる
Photo ユーザーが画面を拡大して停止したポイントを取得し、色分け分布として表示するヒートマップ(画面=左)、ユーザーが画面を拡大して停止したポイントの位置、拡大倍率、停止秒数を表示するとともに、停止ポイント(閲覧ポイント)を順番に線で表示して閲覧経路として表示するアイトラック(画面=右)による分析が可能だ

 ファイルサーバに置いたデータの中から、必要な画像や表、図版を簡単に切り出して保存できるところもユニークだ。データの中で必要なテキストや画像、表組みのデータは、はさみツールで必要な範囲を指定することでクリッピングでき、そのままWordやExcelに張り付けて活用することが可能。操作自体は画面を切り取るような形になるが、元データがExcelの表組みならタブ区切りのテキスト、テキストならテキストデータをクリッピング可能。写真や表組みが入り交じった企画書を作成する場合でも、フォーマットを気にすることなくデータを再利用できるのだ。

 見たいデータは、フォルダをたどって探すほかに、文字検索で全ファイルの中から探すことができる。検索ワードを入れると、その言葉が含まれた全ての書類が検索結果として表示され、どのページのどこに検索ワードが含まれているかをハイライト表示する。内容をすばやく確認した上で必要なものを取り出せるのも便利な点だ。

 料金は、オンプレミス(自社サーバによる運用)かSaaSか、オプションはどうするかといった選択の仕方で異なるが、SaaS型で最も安いものは年額30万円で提供しているという。

Photo 図版やテキスト、表組みを簡単にクリッピングして作成中の資料に張り付けられる

Photo ファイルサーバの全資料から、文字検索で必要な資料を見つけられる。ページの中で検索した文字を含む部分がハイライト表示される

 ファイルサーバのデータは、アプリを通じてiPhoneやiPad、Android端末からも利用できる。社内にいるのと同じようにデータを活用できるのはもちろん、外出先で急に打ち合わせが入った場合でも、資料の中の必要なページのみを検索で探してバインダーに入れ、PDF化すれば、それがそのまま打ち合わせ用の資料になる。セブン-イレブンの複合機を通じてネット上のデータを紙にプリントできる「ネットプリント」サービスにも対応しているので、紙の資料が必要な場合も対応が可能だ。

Photo iPadやiPhone、Android端末から社内データを活用できる
Photo 必要なデータを全資料の中から文字検索で探し、それをまとめてPDF化できる

 同社ではさらに、“アプリのインストール”というハードルをなくし、より幅広い端末からデータを閲覧できるようにするために、HTML5への対応を進めている。今後はビューワアプリをインストールしていないスマートフォンやタブレット端末からも、Webブラウザ経由でファイルサーバのデータにアクセスできるようになるという。


 スマートフォンやタブレット端末を利用した社内文書の活用は、端末を購入するだけで効果を挙げるのは難しい。しかし、適切なシステムと組み合わせることで、ただ便利に使えるだけでなく、社内に蓄積されたデータやナレッジを戦略的に活用するための道筋が開ける。

 面倒な作業を自動化し、業務に専念できる環境をつくってくれるDO!シリーズは、“ゴミ溜めファイルサーバ”を“使える電子キャビネット”に変え、スマートデバイスの業務活用を支援してくれる。スマートデバイスの活用で悩む企業の1つの解といえそうだ。

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