“全部入りタブレット”でiPadに勝負を挑む――業務用スマートデバイス市場に切り込むカシオ計算機業務のニーズをとことん追求(1/2 ページ)

» 2012年08月01日 16時22分 公開
[後藤祥子,ITmedia]

 タブレット業界は現状、iPadの一人勝ちといわれているが、iPadにも欠点がないわけではない。もともとコンシューマー向けの製品として登場したこともあって、ハードなビジネスの現場で使うことは想定しておらず、耐衝撃性や防水防塵性能、氷点下や炎天下での動作保証といったところはサポートしていない。

 こうしたウィークポイントをなくし、ビジネスに役立つ便利な機能やソリューションを用意したタブレットをひっさげて業務用スマートデバイス市場に殴り込みをかけるのがカシオ計算機だ。

 同社がリリースするのは、耐衝撃性能、防水防塵性能を備え、低温や高温に強く、長時間駆動できるバッテリーを装備し、NFCを搭載した「V-T500」シリーズと、このモデルをベースに内蔵カメラを使って手書きのノートや紙の資料を容易な操作でデジタル化できるようにした「Paper Writer V-N500」シリーズ。7月27日に開催された説明会では、それぞれのタブレット端末が、実際の業務の現場でどのように役立つのかが明かされた。

Photo 業務に役立つ機能が全部入りの「V-T500」シリーズ(画面=左)と、アナログのよさとデジタルの利便性を融合させた「Paper Writer V-N500」シリーズ(画面=右)

ビジネスのさまざまなシーンで役立つ機能を装備――「V-T500」

Photo システム戦略部の部長を務める重岡正之氏

 説明会ではシステム戦略部の部長を務める重岡正之氏が、どんな業務のどんなシーンでどの機能が生きるのかを紹介。「訪問営業」「店頭接客」「保守メンテナンス」の3つの業務を挙げて説明した。

 訪問営業で役立つ1つ目の機能は取り外しできる長時間バッテリーを備えている点。1日の多くの時間を外回りに費やす訪問営業では、訪問中にタブレット端末のバッテリーが切れると業務に影響が出てしまう。こうした事態を防げるようV-T500シリーズは、約12時間の運用が可能な大容量バッテリーを搭載。バッテリーは取り外せるので、予備バッテリーを持ち歩けば、交換してさらに長い時間利用できる。オプションでカーバッテリーから電源を供給できるアダプターも用意するなど、さまざまな方法でバッテリー切れに対応できるようにしている。

 2つ目はXi対応モデルを選べる点。例えば訪問先で、用意していなかった資料を見せて欲しいと言われた場合でも、その場でLTEの高速データ通信網を利用して会社にアクセスし、資料をダウンロードできる。

 3つ目は端末内のデータを守るために、NFCリーダー/ライターを利用できる点だ。NFCセキュリティカードを導入すれば、業務で個人情報やクライアント企業のデータを持ち歩くような場合でも、端末のNFCポートにカードをかざさないと内部データにアクセスできないので安心だ。「パスワードと併用することで、強固なセキュリティを実現できる」(重岡氏)

Photo 取り外し可能な大容量バッテリーを搭載

 店舗などでの接客業務で生きる1つ目の機能は、持ちやすさに配慮しているところ。背面に滑りにくい素材を使い、くぼみをつけることで端末を操作しやすくしている。

 2つ目は、端末を購入してすぐ店頭で使えるよう、カシオが電子カタログソリューションの「Book in Cloud」を提供する点だ。「サーバにあるあらゆる情報を、接客の最前線である売り場で活用できるようにすること」(重岡氏)を目指したソリューションで、リアルタイムで商品情報を提供したり、商品の価格表を提示したりできるという。カタログ機能以外にも、連絡事項や指示、通達などの情報を、本部から店長、フロア長、店員まで一元的に伝えられる機能も備える。

 3つ目は、指のタッチによる入力とデジタイザペンの入力に対応する点。これらの入力方式は、機能ごとにオン/オフを割り当てることができるのも便利な点だ。例えば来店者の操作は指タッチ、店員の操作はペン操作で、というような使い方が考えられると重岡氏。カタログ情報は来店者が指を使って自由に操作できるようにして、来店者には見せたくない割引額などの情報については、デジタイザペンでしか起動できないようにする――といった具合だ。「“タッチなのかペンなのか”という違いをうまく使って、幅広い用途を創出できると考えている」(同)

 4つ目はバックアップ&クローン作成機能。これはmicroSDに設定情報やデータをバックアップする機能で、端末が故障した場合にはmicroSDを予備端末に差し替えるだけで、元の端末のクローンを作成でき、業務を継続できるという。

 置くだけで充電できるスタンド式の非接触型充電スタンドも店舗で役立つ機能の1つだ。端末を接客に使わないときには、スタンドに置いて充電しながらデジタルサイネージ端末として使える。あらかじめ設定しておけば、スタンドから故意に持ち出そうとした場合に大音量のブザーが鳴るようにもできるので盗難も防げる。

 また、NFCリーダー/ライターはセキュリティ用途だけでなく、電子マネーの決済にも利用できるので、レジが混雑している際のPOS端末として使ったり、レジを設置できないイベント会場で決済端末として使ったりもできるという。

Photo 端末を買ってすぐ店舗に導入できるよう、電子カタログソリューションを用意(画面=左)。指によるタッチ操作とデジタイザペンの操作は用途に応じて使い分けられる(画面=右)

Photo microSDを予備の端末に差し替えるだけでクローン端末を作れる機能を用意(画面=左)。充電台はデジタルサイネージとしての利用をサポートする(画面=右)

 保守メンテナンス業務で役立つのは、防水防塵、タフネス性能だ。屋外の作業が多い業務のため、1メートルの高さから落としても壊れにくい堅牢設計、濡れても安心な防水性能、ホコリが舞うような悪環境でも動作不良を起こさない防塵性能といった作り込みをしている。また、炎天下や酷寒な環境下でも使えるよう、マイナス20℃から50℃までの温度に対応。ヘビーな環境下でも運用できるIP54の防沫形規格に準拠した端末に仕上げた。

 カシオが提供するビデオ会議システムを利用すれば、現場で解決できない問題が起こった場合でも、「現場と本部の間で動画を見ながら的確な指示を出せる」と重岡氏。タブレットを見ながら作業するのに役立つハンドベルトやネックストラップもオプションとして用意するという。

 作業終了時のサインも、タブレットなら手書きで書き込んでもらえる。カシオのタブレットは、デジタイザペンの入力時に手書きの機能をオフにできるため、画面から手を浮かせることなく書き込むことが可能。筆圧感知機能も備えており、より自然な書き味でサインできるのも特徴の1つだ。

Photo 落下に強く、防水防塵性能を装備。マイナス20℃から50℃までの環境下でも運用可能だ

Photo ビデオ会議システムを使えば、現場の画面を見せながら作業の指示を仰げる(画面=左)。手書きの署名をする際も画面に手がつかないように気にする必要はない(画面=右)

Photo オプションでネックストラップやハンドベルトを用意する
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