iPadの牙城を崩せるか――ドコモとMS、法人向けタブレット市場の開拓で協業

» 2012年11月02日 00時44分 公開
[後藤祥子,ITmedia]
Photo 日本マイクロソフトの樋口泰行氏(画面=左)とNTTドコモの加藤薫氏(画面=右)

 「Windows 8とXi(LTE)で新しいワークスタイルを生み出し、価値の最大化を実現したい」(NTTドコモ 代表取締役社長の加藤薫氏)――。11月1日、マイクロソフトとNTTドコモが、法人向けタブレット市場を共同で開拓することで合意した。

 企業向けタブレット市場のシェアは現状、この市場が立ち上がるきっかけをつくったAppleのiPadが大半を占めており、それをAndroid端末が追う格好になっている。後追いでタブレット市場に参入するマイクロソフトは、法人向けモバイル市場に強く、いち早くLTEの提供を始めたドコモと組むことで端末の価値を最大化させ、シェア拡大を目指す。

 Windows 8は、10月26日に発売されたマイクロソフトのPC/タブレット向けOSで、搭載端末は13メーカーから250モデル以上がリリースされる予定。端末バリエーションの多さも魅力の1つで、従来からあるノートPC型やタブレット型に加え、キーボードを取り外すとタブレットとして使えるハイブリッド型やスライド型、回転型など、多彩なモデルが登場する見込みだ。

 既に100社を超える企業から引き合いがあるなど、法人からの関心も高いとマイクロソフト 代表取締役社長の樋口泰行氏は話す。しかもこのうちの約半分は、検討していた他のタブレット端末をやめてWindows 8タブレットの導入を決めたという。

 Windows 8が企業の関心を集める理由の1つは、Windows OSとの親和性が高く、これまでの企業資産を生かせる点だ。企業のPCやシステムはWindowsベースのものが多く、いざタブレットを導入しても、会社のシステムにつながらなかったり、今まで使っていたアプリが動かなかったりするのでは業務に支障をきたしてしまう。“これまでの資産を継承しながら、タブレット機能も使えるOSを早く出してほしい”という顧客の声は高まっていたといい、その声に応えるのがWindows 8というわけだ。

 企業用途で重要なセキュリティについても、マルウェア対策ソフトやセキュアブート、スマートスクリーンの実装で強化しており、運用管理のしやすさも向上していると樋口氏。「新たなタブレットの用途をカバーしつつ、既存アプリの活用、企業ITとのつながり、高度な管理機能、セキュリティといった法人タブレットのニーズをかなり理想的な形でカバーしたのがWindows 8だと思っている」と、OSの仕上がりに自信を見せた。

Photo 業務で利用する上で重要な点をカバーしている

 このWindows 8を搭載したタブレット端末に、高速なモバイルネットワーク機能を提供するのがNTTドコモだ。同社は2年前に、いち早く下り最大37.5Mbps(一部地域は75Mbps)の高速通信を実現するLTEサービス「Xi」を開始。すでに政令指定都市の人口カバー率は100%となっており、2012年度末までに下り最大112.5Mbpsの高速通信を一部地域から提供する計画だ。

 ドコモの加藤氏は、他キャリアにさきがけてLTEサービスを提供したことから、ネットワークのチューニングなどの独特のノウハウがたまっており、「他社とは違う独特の強みを持っている」と説明。高速で対応エリアが広いXiとWindows 8を組み合わせれば、「外出先でもオフィスと同じ環境でタブレット端末を利用できる。相性は抜群」と胸を張り、「(OSとモバイル通信の)リーディングカンパニー同士と自負しており、マーケットの牽引力を十分に発揮したい。新たなタブレット市場の形成と拡大を、手を携えながら推進していきたい」と意気込んだ。

 Xiを内蔵した端末はすでにパナソニックからリリースされており、今後は富士通、NEC、東芝、日本ヒューレット・パッカードからも、Xi内蔵端末が登場するという。

Photo 両社の強みを生かし、パートナー企業と協力しながら、タブレット市場の拡大を目指すという

Photo 多彩な端末バリエーションに注目しているとドコモの加藤氏。

「営業」「マーケティング」「パートナー開拓」を共同で

 タブレット市場の開拓に向けた具体的な取り組みについては、営業、マーケティング、パートナー企業の開拓と連携を協力して行う計画だ。

 営業については専任部隊を設置し、共同で顧客開拓や提案活動を推進。プロモーションについては、イベントやセミナーを共同で開催するほか、産業別セミナーの充実を図る。共同プロモーションの第1弾として、11月22日に開催される「MCPCモバイルソリューションフェア」で展示活動を行う予定だ。

 パートナーの開拓は、パートナーネットワークとソリューションネットワークをフルに活用し、顧客に対するソリューションのメニューをそろえていく。また、タブレットの新たな用途に対応するためのパートナーやソリューションについても、協力して開拓していく方針だ。

 市場開拓する上での注力分野については、小売や金融、保険などの対面販売を想定。また、ペーパーレスの動きにも注目しているという。市場の主流となっているiPadに対する優位性については、「用途を特定した形でのバーティカルな業種や使い方が実現するだけでなく、企業システムと連携できる」(樋口氏)、「法人市場で非常に大きなウエイトを占めているのはWindowsであり、企業はそれをベースに社内システムを構築している。親和性においてはこれに勝るものはない」(加藤氏)といった点を挙げている。

 なお、ドコモは今後もAndroidタブレットを取り扱うとしており、顧客のニーズに応じてタブレット端末を提案するという。

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