欲しいファイル、PC画面を撮影するだけでタブレットに保存――直感操作のファイル転送技術、 富士通が開発

» 2013年01月21日 15時22分 公開
[後藤祥子,ITmedia]
Photo 富士通 メディア処理システム研究所の田中隆太氏

 PCやプロジェクターの画面を撮影するだけで、そこに表示されている資料の元データをスマートフォンやタブレット(スマートデバイス)に取り込める――。こんな直感的な操作のファイル転送を可能にする技術を富士通が開発した。

 スマートデバイスの高機能化に伴い、これまでPCで行ってきた作業をスマートデバイスで行う機会が増えているが、そのためには、スマートデバイスとPCとの間でデータをやりとりする必要がある。データを共有するには、端末間をケーブル接続したり、Wi-Fiを利用したり、クラウドサービスを利用したりといった方法があるが、今回の技術開発を手がけた富士通 メディア処理システム研究所 イメージシステム研究部 主任研究員の田中隆太氏は、いずれの方法にも課題があると話す。

 「ケーブル接続でのやりとりは設定が煩雑で、Wi-Fi経由の場合は設定時に多数のアクセスポイントがリストアップされて利用者が困惑する。クラウドサービスを利用したデータの共有は、セキュリティ面に不安が残る」(田中氏)。こうした背景から生まれたのが、今回発表されたファイル転送技術だ。

 使い方はとても簡単。会議中にプロジェクターに映ったプレゼン資料をスマートデバイスに保存したければ、その画面をスマートデバイスのカメラで撮影するだけで取得できる。PCの画面に表示された営業資料が必要なら、その画面をカメラで撮影すればいい。同じネットワーク上にある、専用アプリをインストールしたデバイス間なら、こんな簡単操作で必要なデータを取得できるのだ。

Photo デモの様子。プレゼン資料が表示されたプロジェクターの画面を説明員がタブレットで撮影すると、その画面が含まれたデータがタブレット内に送信された

Photo 従来のPCとスマートデバイス間のファイル転送手法はハードルが高く、課題もあることから、直感的で安全な転送方法を開発した

PCの画面上にIPアドレスやSSIDを信号として表示

 この仕組みの秘密は、PCとスマートデバイスにインストールしたアプリに仕込まれている。PC側のアプリには、端末内に仮想サーバを構築する機能と、そのPCのIPアドレスやSSIDを人間の目では認識できない信号に変換して画面に映す機能、PCの画面上でどのファイルがアクティブになっているかを監視する機能が用意されている。

 一方、スマートデバイス(Android)のアプリには、撮影したPCの画面に表示された信号からIPアドレスやSSIDを検出する機能、ネットワークを経由して検出したIPアドレスを持つPCにアクセスし、ファイルを要求する機能が搭載されている。

 この仕組みを利用すると、どうなるのか。まず、PCの仮想サーバ内にあるデータを開いて画面に表示すると、そのデータと一緒にPCのIPアドレスとSSIDが目に見えない信号という形でデスクトップに表示される。

 このPCの画面をスマートデバイス内のアプリを通じて撮影すると、撮影した映像からIPアドレスとSSIDを検出し、ネットワーク上のどのPCなのかを割り出して、そのPCにファイルをリクエストする。スマートデバイスからリクエストを受けたPCは、画面上でアクティブになっているファイルをスマートデバイス側に送信する――。こんな流れでファイルの共有を実現しているのが、今回の技術だ。

 なお、同じ仕組みを利用して、ネットワーク上の任意のPCに、スマートデバイス内の画像ファイルなどを転送することも可能だ。

Photo ファイル共有の流れを図で示したもの。

Photo 今回の転送技術には、IPアドレスやSSIDなどの情報を、目に見えないようにPC画面上にリアルタイムで重畳する画像処理技術が採用されている。今回の転送技術では、PCの画面上に複数のデータが表示されている場合は、最前面のファイルを転送する。アプリにはそれを監視する機能も用意されている

Photo 転送技術の想定利用シーン

 富士通はこの技術を、2月25日から29日にかけてスペインのバルセロナで開催されるMobile World Congress 2013で披露する計画。今後は、映像から携帯端末に配信する際の通信速度を改善し、2014年度中の実用化を目指す。

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