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» 2016年09月27日 09時00分 公開

廃棄物から電力を作って農業に、池の上にも太陽光パネルが並ぶエネルギー列島2016年版(23)愛知(3/3 ページ)

[石田雅也,スマートジャパン]
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トヨタの工場に大規模な風力発電所

 愛知県内で固定価格買取制度の対象になっている発電設備は太陽光とバイオマスが圧倒的に多い。太陽光発電では運転を開始した設備の規模が全国で第3位、バイオマス発電では認定を受けた設備の規模が第2位になっている(図8)。加えて風力と小水力発電の導入プロジェクトも増えてきた。

図8 固定価格買取制度の認定設備(2015年11月末時点)

 風力発電が盛んな場所は、渥美半島の大部分を占める田原市だ。風況の良い沿岸部に工業地帯が広がり、大型の風車20基が稼働している。その中で規模が最も大きい「田原臨海風力発電所」は11基の大型風車を沿岸に配置した(図9)。発電能力は22MWで、J-Power(電源開発)グループが2005年から運営している。一部の風車はトヨタ自動車の田原工場の敷地内に建っている。

図9 「田原臨海風力発電所」の全景(画像をクリックすると拡大)。右側に見える風車の建っている場所がトヨタ自動車の田原工場。出典:国土交通省

 この田原工場の中に、トヨタ自動車が新たに風力発電所を建設するプロジェクトを開始した。風車の設置数は5〜12基になる予定で、最大26MWの発電能力を計画している。2016年7月に建設前の環境影響評価の手続きに入った。順調に進めば2020年に運転を開始できる。発電した電力は工場内で消費してCO2排出量の削減に生かす。

 一方で内陸部のダムの直下では小水力発電が拡大中だ。東部の新城市(しんしろし)ではダムを運営する水資源機構が「大島ダム発電所」を2015年10月に稼働させた。農業用水路に水を供給するダムの放流の一部を発電に利用する(図10)。

図10 「大島ダム発電所」の建屋(上)、ダムから発電所までの水流(下)。出典:水資源機構

 ダムから発電所まで55メートルの落差を生かして、発電能力は240kWになる。年間の発電量は100万kWhで、一般家庭の280世帯分に相当する。発電した電力はダムの施設で自家消費するほか、余剰分を売電して施設の管理費を削減するのに役立てる。

 豊田市にある県営の「羽布(はぶ)ダム」の直下でも小水力発電所の建設が進んでいる(図11)。このダムも農業用水路に水を供給する役割だが、放流する水の量が多くて毎秒3立方メートルに達する。豊富な水量と45メートルの落差で最大854kWの電力を供給できる。2016年度内に運転を開始する予定だ。

図11 「羽布ダム」の位置(上)、小水力発電所の建設予定地(下)。出典:愛知県農林水産部

 年間の発電量は320万kWhを見込んでいる。一般家庭で890世帯分の電力に相当する。発電した電力は全量を固定価格買取制度で売電して、年間に約1億円の収入を得られる。買取期間の20年間の累計では約20億円の収入を期待できる一方、建設費は10億円弱に収まる。運転維持費を含めても十分に採算をとれる想定で、ダムの維持管理費の軽減につなげる。

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2015年版(23)愛知:「太陽光と風力と工場が集まる半島、電力の自給率300%を超える」

2014年版(23)愛知:「太陽光の先進県がバイオマスで全国1位、木質から廃棄物まで燃料に」

2013年版(23)愛知:「太陽光発電で全国のトップを快走、加速するメガソーラー開発に風力や小水力も」

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