ソーラーシェアリングはなぜ大きく普及しないのか、その理由を考える【前編】ソーラーシェアリング入門(36)(2/2 ページ)

» 2020年09月23日 07時00分 公開
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不足する事例情報、継続的なリサーチや情報開示も重要に

 前回の記事でも取り上げましたが、ソーラーシェアリングではさまざまな事故やトラブルが発生しています。そして、往々にして悪い事例というのは人の目につきやすく、結果としてマイナスイメージを抱く切っ掛けとなってしまいます。一方で、ソーラーシェアリングの優良事例・模範事例と言える情報はなかなか接しにくいのが難点です。その理由としては、農業にしっかりと取り組んで成果を出せている事例は農業者や農業法人が地道に取り組んでいるものに多く、そういった方々の情報はなかなか大きく発信されることがないために、探し当てることも難しいのが現状です。

農林水産省の営農型太陽光発電の取組支援ガイドブック(クリックでサイトへ)

 農林水産省の営農型太陽光発電のWebページ(クリックでサイトへ)が充実してきており、取り組み事例の掲載数も増えてきてはいますが、農業は都道府県や市町村が違えばその様相も変わってきます。ソーラーシェアリングの一時転用許可は基本的に都道府県が所管しますので、少なくとも都道府県単位で地域内のソーラーシェアリングの取り組み状況を公開したり、優良事例・模範事例を発信したりしていくことが必要です。

 加えて、農作物が太陽光パネルの下でどう育っているかという学術研究も圧倒的に不足しているため、都道府県の農業試験場などで地域の特産物を中心に実証試験を継続して行い、そのデータを開示していくことで農業者側の不安を払拭していくことも重要でしょう。

 次回は後編として、事業をささえる融資の側面や、発電事業主体を誰が担うべきかといった問題からソーラーシェアリングの普及策について考察していきます。

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