温室効果ガス排出量の算定ルールが見直しに、改正温対法を受けた新案を公表法制度・規制(4/4 ページ)

» 2022年12月26日 07時00分 公開
[梅田あおばスマートジャパン]
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GHGプロトコルと整合した算定への換算

 現在、グローバルに活動する企業の多くが、CDPやRE100、TCFD、SBTi等のイニシアティブに参加しており、国際的なデファクトスタンダードである「GHGプロトコル」に準拠したGHG排出量の算定・報告が求められている。しかしながら、GHGプロトコルはSHK制度とは一定の相違点があるため、事業者の負担となっている。

 このため検討会では、SHK制度の報告のために収集したデータや算定排出量データを活用して、GHGプロトコルと整合したScope1・2排出量の算定を行う方法について、検討が行われた。

 事務局では、SHK制度とGHGプロトコル(Scope1・2)の間には、多くの共通点と3種類の相違点があると整理している。

図4.SHK制度とGHGプロトコルの関係 出所:SHK制度における算定方法検討会

 これらの相違点については、SHKデータに対して何らかの「変換」や「補足」、「控除」を行うことで、GHGプロトコルと整合した算定に換算することができると考えられる。

 例えば単純な例としては、地理的範囲の違いにおいて、国内に限定したSHK制度に国外での排出量を補足することにより、GHGプロトコルに整合させる。

表5.地理的範囲の比較と補足方法

 このため、国はこれらの換算方法を整理したガイドラインを作成・公表する予定である。また環境省・経済産業省は、Web上のクラウドシステムである「省エネ法・温対法・フロン法電子報告システム(EEGS)」を提供しており、今後はGHGプロトコルへの換算機能をEEGSに設ける予定としてる。

制度改正に向けた今後のスケジュール

 国は今年度取りまとめた内容について、速やかに省令等を改正し、事業者への周知活動を行っていく予定である。

 なお今年度予定していた議題のうち、森林吸収やCCS・CCU等の炭素除去については実質的に議論が出来なかったため、あらためて来年度の議題とされた。

 CCSやメタネーションは多大な先行投資が必要となるため、その環境価値の扱いの明確化が急がれる。

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