電力広域的運営推進機関が2023年度夏季の電力需給の実績と、今年の冬季の見通しを公表した。
電力広域的運営推進機関では、毎年、夏冬の高需要期の電力需給を検証し、その結果を公表している。「調整力及び需給バランス評価等に関する委員会」の第91回会合では、2023年度夏季の電力需給の実績、及び2023年度冬季の厳寒H1需要発生時の電力需給の見通しが取りまとめられた。
なおH1需要とは、夏季や冬季における厳しい気象条件(10年に1回程度の猛暑・厳寒)における最大電力需要を意味する。
東京エリアでは、2016年度以降、最大需要(kW)実績は右肩上がりで推移してきたため、東京エリアの2023年度猛暑H1想定値は、過去最大の上方修正を行っていた。
また2023年3月時点において、東京エリアでは2023年7月の予備率が3.0%と厳しい需給バランスが見込まれていたことから、供給力を確保するため、kW公募が実施された。実績としては、東京エリア2023年度の最大需要は、猛暑H1想定の5,931万kWを406万kW下回る5,525万kWとなった。
この要因としては、節電要請や新型コロナウイルス感染症の5類感染症移行に伴う、外出の増加(テレワーク率の低下)によるエアコン・照明利用の減少、湿度や日射量の気象影響等が考えられる。
また東京エリア以外でも、北海道エリアを除き全国的にH1需要想定を下回っており、今夏の全国最大需要は至近5年間で最も低い実績となった。
電力需要に大きな影響を与える気温実績を確認すると、各エリアの加重平均気温は各月とも昨年よりも高く、実際に7月や9月の最大需要(kW)は昨年を上回っている。他方、8月の最大需要(kW)は昨年を下回ったことにより、夏季を通じた最大需要(kW)は昨年を下回る結果となった。なお、1日あたりの平均電力量(kWh)では、8月と9月で昨年を上回っている。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.