2050年の電力需給バランスはどうなるのか? シナリオ別の試算結果が公表エネルギー管理(4/4 ページ)

» 2023年12月08日 07時00分 公開
[梅田あおばスマートジャパン]
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デロイトトーマツコンサルティングによるモデル分析結果

 デロイトトーマツコンサルティングでは、エネルギーシミュレーションツール「TIMES」を用いて、2050年カーボンニュートラルの実現を前提として、エネルギー自給率を分岐要素としたシナリオを想定し、将来の電力需要を推計している。デロイトが想定した3つのシナリオとシミュレーション条件は表2のとおりである。

表2.エネルギー自給率別シナリオ(デロイト) 出典:デロイトトーマツコンサルティング

 シミュレーションでは、2040年の電力需要は各ケースで大きな差はないものの、2050年には自給率が増加するにつれて電力需要が大きく増加する結果となった。

図8.エネルギー自給率に対する電力需要の変化 出典:デロイトトーマツコンサルティング

 これは、自給率が高くなるにつれて各部門の電化が進むほか、図9のように水素製造のための消費電力が増加することが最大の理由である。また水素の需給バランスを見ると、エネルギー自給率が低いケースでは海外からの輸入水素が大半を占めるが、エネルギー自給率が高いケースでは国内水素の製造量が増える結果となっている。

図9.ケース別 2050年電力需要(送電端) 出典:デロイトトーマツコンサルティング

 今後の検討会では、2023年度内に需要シナリオ案を策定したのち、2024年度には供給力シナリオ及び両者を踏まえた需給バランスの策定や課題分析を行う予定としている。

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