CO2の吸収活動も多種多様であるが、日本のCO2吸収量4,760万t-CO2の90%を占めるのが、森林吸収量(伐採木材製品(HWP)に係る炭素貯蔵量を含む)である。このため、検討会ではまず森林吸収のSHK制度における取り扱いを検討することとした。
SHK制度対象事業者による森林吸収等に係る取組としては、以下の2点が想定される。
具体的な算定ルールの策定にあたっては、GHGプロトコルの吸収ガイダンス(案)や、国家インベントリの算定ルール、J-クレジット制度の算定ルールをベースとしながらも、企業の自主的削減努力を促すSHK制度の趣旨に沿ったかたちでの、森林吸収量・木材製品炭素貯蔵量の算定方法を検討することが求められる。
森林吸収量とは、森林によるCO2の吸収量と排出量の差分としての「純吸収量」のことであり、異なる時点間の炭素蓄積の差分を算出するストックチェンジ法(蓄積差分法)により算定を行うことが一般的である。
国家インベントリにおいては、国又は地域レベルでの統計データ等を用いて純吸収量を算出することにより、算定結果の完全性が担保されるが、組織単位や事業単位で算定を行う場合には、排出量が算定対象から外れてしまわないよう、算定対象となる「バウンダリー(組織境界、活動境界)」の設定方法を検討する必要がある。
GHGプロトコル等によるバウンダリー設定の考え方を比較したものが表2である。
また、吸収・除去に係る算定報告に当たっては、将来時点で「反転」(過去に吸収量として算定した炭素が再びCO2として大気中に放出されること)が生じうることから、反転発生時の算定報告についても検討する必要がある。
このほかにも、SHK制度で森林吸収等を取り扱う場合の論点や課題は幅広く存在し、今後、検討会では、
などについて、毎年の算定・報告に係る実務面での負担等を考慮した検討を行う予定としている。
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