LNGや石炭を海外から調達する場合、通常、上流の固定費は燃料価格の中に含まれており、国内の発電事業者等はこれを従量料金(変動費)の形で負担していると考えられる。
ただし、上流事業者(現地法人)は上流設備の投資回収を担保するため、「take or pay条項(引取数量が減少した場合、一定の金銭負担を求める)」を定めることが多く、これは輸入側から見れば固定的な支払いとなっている。
今後、水素等の輸入調達に際しても、同様の「take or pay条項」を設けることや二部料金制(基本料金+従量料金)の燃料調達契約とすることも想定される。
このような固定的費用については、「価格差に着目した支援制度」ではカバーされないため、新たに長期脱炭素電源オークションの対象として、応札価格に算入することを認めることとする。
もし応札事業者が可変費も算入した場合、応札価格が高くなり、不落札リスクが高くなることや、仮に落札したとしても、他市場収益が大きくなることで還付すべき金額が大きくなることなどから、自ずと一定の価格規律が働くものと考えられる。
なおこのような固定的費用の負担は、海外の水素・アンモニアだけに当てはまる問題ではないと考えられる。例えば、国内の共用水素タンクの費用負担でも、完全従量料金とする方法、二部料金制とする方法、いずれもあり得る。
このため今後は、電源種や上流/下流、国内/海外を問わず、全ての電源種共通の整理として、固定費と認められる部分については、本制度の応札価格に算入できることとする。
制度検討作業部会では今後、長期脱炭素電源オークションにおける合成メタンやCCS付火力の具体的な取扱いについて、検討を行う予定としている。
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