水素社会推進法では、主務大臣は関係行政機関の長に協議した上で、低炭素水素等の供給・利用の促進に向けた「基本方針」を策定することとしており、基本方針には、①低炭素水素等の供給・利用に関する意義・目標、②GX実現に向けて重点的に実施すべき内容、③低炭素水素等の自律的な供給に向けた取り組み等が記載される。
エネルギー安全保障の観点から、国内再エネ電力を活用した低炭素水素等の製造を支援していく一方、国内製造だけでは賄いきれない需要に対する供給量を確保するため、大規模かつ低廉に供給が可能である低炭素水素等の輸入についても支援していくこととしている。
また、他国における市場歪曲的な産業補助金といった非市場的な政策等に対処すべく、二国間交渉などの進展を踏まえ、同志国と連携し、透明性があり強靭で持続可能なサプライチェーンを構築・強化していくことを目標としている。
水素社会推進法では、低炭素水素等の国内製造・輸入事業者や、低炭素水素等をエネルギー・原材料として利用する事業者が、単独または共同で計画を作成し、主務大臣がこれを認定する制度を設けている。
国は「価格差に着目した支援」及び「拠点整備支援」の対象選定に向けた評価項目の具体化を進めており、同計画の認定に際しては、GXリーグに加入する等、CO2削減のための取り組みを実施することを必須条件としている。
基準価格と参照価格の差額を国が補助する「価格差に着目した支援」では、これら2つの価格をどのように設定するかが重要となる。
本制度の「基準価格」については、事業者がプロジェクトコストを回収できる水準として、基準価格(算定式)を提示する。本制度に申請する事業者の予見性を高めるため、物価・為替の変動や原料費等の変動は、算定式を用いて基準価格に反映可能とする一方、工事遅延によるコストオーバーラン等は基準価格に反映されない。
基準価格の算定式及び積算可能な費目の例は図4のとおりであり、建設費については最大10%の予備費の計上を認め、建設完了後に未使用の予備費にあたる金額は基準価格から控除する方式としている。
現時点の事務局案としては、FEED(基本設計)までに掛かる費用は積算対象外としているが、これも積算対象とすべきという意見が委員やオブザーバーから寄せられている。
なお、海外から水素をアンモニア(NH3)やメチルシクロヘキサン(MCH)といった形態で輸入する場合、国内で脱水素装置を利用することが想定されるため、例外的に脱水素装置の運転費も含め、価格差に着目した支援の対象とする(付属するタンクやパイプ等は除く)。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
人気記事トップ10