価格差に着目した支援制度における「参照価格」については、低炭素水素等の新たな用途(一般的に商用に使われていなかった用途)向けには、以下の算定式を用いて需要家ごとに参照価格を設定する。
また、脱硝や化学品原料等のように、すでに商用で自律的な市場が確立している既存用途向けには、以下の算定式を用いて需要家ごとに参照価格を設定する。
本制度における政府支援金額は、「基準価格−参照価格」と算定されるため、参照価格が高いほど政府支援金額を抑制することが可能である。よって、事業者が販売価格にプレミアム(上記算定式のe.)を上乗せするインセンティブを付与するため、当該プレミアムの1割を供給事業者に還元するよう検討を進めている。
同じく、将来的にカーボンプライシング(上記算定式のb.やc.)の強化により、参照価格が上昇する場合、本制度に基づく政府支援金額は逓減することになる。
「価格差に着目した支援」制度では、基準価格・参照価格の算定式や積算可能な費目があらかじめ定められているものの、いずれも具体的な価格は申請する事業者が算定することとなる。
よって、国はJOGMEC(独立行政法人エネルギー・金属鉱物資源機構)とともに、申請者の提出内容について、費目の積算や官民のリスク分担が適切であることを事前に精査する予定としている。
また先述のとおり、本制度では物価・為替等の変動は基準価格に原則反映可能としているが、基準価格と参照価格の差額を基に上限を設け、単年度の支援上限額を超える金額は支援対象外とする。
本制度による支援案件選定に際しては、コスト面だけでなく、競争力強化(GX政策)や事業の自律・安定供給(エネルギー政策)等に優れた計画を、優先して認定することとしている。例えば、低炭素水素等の直接の利用者だけでなく、自動車・住宅・化学製品など最終製品事業者の新市場の開拓を見据え、その価格転嫁も戦略的に織り込んだ参照価格やオフテーク期間を設定する計画は高く評価される。
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