現在日本では、原子力発電所の使用済燃料に含まれるウランやプルトニウムを回収し、新たな燃料として再利用する核燃料サイクル政策が推進されている。
核燃料サイクルにおいて中心的事業者である日本原燃は、本年8月29日に、六ヶ所再処理工場については「2026年度中」、MOX燃料工場(六ヶ所)については「2027年度中」に、それぞれ竣工目標を見直す旨を発表している。これまでの遅延の理由としては、再処理工場とMOX燃料工場は、発電炉と異なり国内唯一の施設であるため審査前例がないことや、再処理工場は設備数が膨大(発電炉の6〜7基分)であるなど、特有の難しさがあることが報告されている。
これにより現時点の事業費は、六ヶ所再処理工場で15.1兆円、MOX燃料工場で2.43兆円へと上昇すると見込まれている。
SMR(小型モジュール炉)や高速炉等の「次世代革新炉」については、まだ基本設計や概念設計が確定しておらず、正確なコスト試算を行うことは困難であるため、今回のWGではコスト検証の対象とはしない。
また、米国の原子力発電所ボーグル3号機は、米国で30年以上ぶりの新設であったこともあり、建設単価が高騰する結果となった。日本では2009年の北海道電力泊発電所3号機以来、新設がないため、新設再開初号機の建設費が上昇する可能性は否定できない。
このため、発電コスト検証WGでは前回同様に、建設費・追加安全対策費、事故リスク対応費用、核燃料サイクル費用それぞれについて、感度分析を実施する予定としている。
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2040年の太陽光・風力の発電費用はいくらになる? コスト検証がスタートCopyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
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