鉄道事業者は、駅舎や車両基地、車両工場といった建物のほか、線路用敷地などを多く保有している。これらの鉄道アセットを活用した再エネ発電の設備容量は約5万kW、発電電力量は約5,000万kWhと報告されている(2022年度時点)。
仮に全国の線路沿線に平均1m幅のペロブスカイト太陽電池を設置するならば、設置面積は2,800haとなり、年間発電電力量は20億kWhに上るとの試算もある。
改正省エネ法では、保有車両数300両以上の特定輸送事業者(貨物1社、旅客26社)に対して、非化石エネルギーへの転換に関する中長期計画の作成及び定期報告の提出を義務づけており、鉄道(電動車)は、2030年度の使用電力量の非化石電気比率「59%」を定量的目標の目安としている。
官民研究会では、主要鉄道事業者を対象として、再エネ電力の導入・活用に関する以下の目標を設定した。
非電化区間を運行する内燃動車(ディーゼル車両)は約2,700両と鉄道車両全体の約5%であり、軽油の年間使用量は約185千kL、CO2排出量は約48万tである。
既存路線の電化は困難であるため、車両単位での電動化や、水素やバイオ燃料への燃料転換を進める必要がある。図7左のハイブリッド車両は、電動車であるが、車載発電機の燃料に化石燃料を使用する場合、CO2を排出するという課題が残るため、早期の燃料転換が求められる。
水素やバイオ燃料、合成燃料等の脱炭素燃料は、その供給インフラや価格面で課題が大きいことは、自動車や航空機・船舶と共通の課題であるため、他分野との連携が期待される。
官民研究会では、主要鉄道事業者を対象として、非電化区間の GXに関する以下の目標を設定した。
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