現在、鉄道車両の生産額と鉄道車両部品の出荷額を合わせた市場規模は約6,500億円であるが、このうち輸出は約1,100億円(輸出比率約17%)に留まり、内需中心の産業構造となっている。他方、世界の鉄道市場は2028年頃に、軌道、車両、信号・システム、運行・保守等も含め39兆円程度、車両に限っても約12.4兆円の市場が見込まれる。
鉄道分野のGXにおいては、国内の脱炭素化だけではなく、海外展開を加速化し、日本の鉄道産業の発展及び経済成長につなげることが重要である。日本の事業者が鉄道車両や運行システム全体としての省エネ化・脱炭素化を進め、世界市場を獲得することは、量産効果等によりコスト低減も進むと期待される。
ただし、海外展開を進めるには、規格化や国際標準化も重要となる。官民研究会では、官民の関係者が連携して、我が国鉄道技術の国内・国際標準化を推進し、メーカーの設計・製造負担の軽減を通じて、海外案件への対応力を強化するとともに、省エネ・脱炭素技術の活用を切り口とした「日本型鉄道GXパッケージ」の海外展開に取り組むこととした。
鉄道分野の脱炭素化を進めることは、低炭素な輸送手段の提供を通じて、製造業をはじめとする多くの企業のサプライチェーンにおけるScope3排出量の抑制に貢献するものである。また、国全体のカーボンニュートラル実現には、鉄道分野の中での脱炭素化だけでなく、貨客両面でのモーダルシフトも含めた運輸部門全体での脱炭素化が重要である。
官民研究会では、今後も鉄道GX戦略の更なる具体化に向けて、関係者間で検討を深めていく予定としている。
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