先述の現行手法「信頼度階級予測」では、過去の再エネ予測誤差実績をベースとした2つのテーブルをあらかじめ作成しておき、翌日の日射量予測と予測の信頼度階級によって、日ごとに使い分けている。
この手法では、日々の気象状況に即した再エネ予測誤差の大きさやその発生確率を定量的に予測しきれず、一日に使用するテーブルはいずれか一つであるため、一日内での予報の信頼度の変動を捉えられないという課題がある。
そこで三次②の新たな算定手法として、日射量予測の下振れ予測から、直接的に太陽光発電の下振れリスク量(調整力必要量)を算定する手法である「信頼区間幅予測」の導入が検討されている。なお、三次②必要量は「前日からGC断面まで」の必要量であるのに対して、信頼区間幅予測は、「前日から実需給断面まで」の下振れリスク量(調整力必要量)を算定する手法であるため、対象範囲を補正する必要がある。
広域機関では、新たな「信頼区間幅予測」を中部エリアに導入したと仮定し、一定の前提条件のもとでその効果を試算したところ、コマによっては三次②必要量が減少するものの、年間合計では増加する結果となった。これは、現時点の諸元データが中部エリアの実運用向けにチューニング(対象範囲やメッシュ粒度の調整等)されていないことなどが理由と考えられる。
そこで、「信頼度階級予測」と「信頼区間幅予測」を併用し、それぞれ算定される三次②必要量のうち、小さい方を当該コマの三次②必要量として採用する「新手法」について、その効果の検証が行われた。一定の前提条件のもとで、同じく中部エリアに新手法を導入したと仮定した場合、現行手法と比べ、三次②必要量は年間合計で約22%、約878GW低減する試算結果となった。
ただし、この新手法では三次②必要量を過少に予測する場合もあり、結果として一部のコマでは、三次②必要量(三次②募集量)の不足が増加する結果となった。
これが安定供給上の問題を生じないか確認したところ、三次②不足量の最大値は現行手法と同水準であり、現在も余力活用契約等によりカバーできているため、新手法の適用は安定供給に問題ないと判断された。
NEDO事業ではこのほか、日射量予測に特化した気象モデルに係る技術開発が行われた。今回提案された新手法の「信頼区間幅予測」では、日射量予測から直接的に三次②必要量を算定するため、高精度な日射量予測は三次②必要量の安定的な低減に必須となる。新たな日射量予測技術は、2026年秋頃に市場導入される予定である。
日射量予測の“大外し”を低減する新技術 再エネ電源の調整力コストの低減に
インフレによる再エネの開発コスト上昇を考慮 2026・2027年度の調達/基準価格を再設定へ
蓄電池等の低圧リソースや機器個別計測 2026年度から需給調整市場へ参入可能にCopyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
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