新たに提案された「過不足率」は、現在の広域予備率と同様に、各小売事業者が需要調達計画の作成や取引の参考とするシグナルであり、各事業者が必ず過不足率に応じて取引することを求めるものではない。
過不足率は、各社に「気づき」を与える点で有益と考えられるが、これをシグナルとして示すだけではモラルハザードを防ぐ効果は薄いと考えられる。よって、小売事業者に適切な需要想定と供給力調達を促すための策として、過不足率をインバランス単価の算定に反映することも案として示された。
今後の詳細制度設計次第であるが、一送の想定需要自体は追加供給力対策が実施されたとしても変化しないため、他者の行動(努力)によりインバランス単価が下落する(フリーライドする)機会は減少すると期待される。
ただし、過不足率をシグナルとし、さらにインバランス料金に反映するためには、広域機関や一送の中給システムの改修が必要となる。現在、一送では次期中給システムの開発を進めており、2030年度以降の導入となる可能性もある。
広域機関では現行中給システムでの導入案も含め、過不足率の詳細な算出方法やインバランス料金との関係を整理し、実際の導入時期を検討する予定としている。
系統用蓄電池による「空押さえ」対策 契約申請の「土地取得」を要件化へ
今後の系統混雑・出力制御量などの見通しは? 2030年度の中期予測が公表
需給調整市場の一次・二次②・複合商品 2026年度の上限価格を半減へCopyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
人気記事トップ10