電源を広域的にメリットオーダーで運用する観点から、中長期取引市場においても、地域間連系線を利用したエリアを跨いだ取引を認めることが基本的な方向性となる。
間接オークション導入以降、エリアを跨ぐすべての取引(ベースロード市場や先渡市場、相対取引、社内のエリア間調達等)は、JEPXスポット市場を介して行っていることから、中長期取引市場でも同様となる。
エリア間取引には常に市場分断(市場間値差)リスクが伴うが、中長期取引市場では、この市場分断リスクを「買い手」が負うこととした。買い手が市場分断リスクを事前に把握できるようにするため、電源の所在エリアをどの程度開示するかは、今後の検討である。
なお、中長期取引市場では非化石価値を取り扱わないが、中長期取引市場で取引する電気の排出係数は、他の取引と同じく、JEPXの排出係数(取引所で約定された事業者の事業者別未調整排出係数を約定した電力量に応じて加重平均)を用いることとなる。
中長期のkWh取引については、現在も一定のニーズがあることから、小売事業者のkWh確保義務に先行して、2028年を目途に中長期取引市場での取引を開始することとした。
また、小売事業者等のすべての電気事業者は毎年度、「供給計画」を国に届出する必要があるが、2030年度供給計画(2029年度作成)から、kWh確保の状況(2030年度供給量の7割/小規模5割、2032年度供給量の5割/小規模2.5割)について確認を開始する予定としている。
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