デート企画は無事終了しましたが、連載はもうちょっとだけ続きます。100回以降は新企画も。さてさて、今日はミソノから紹介するようです。
そこかしこに花のつぼみがふくらみはじめたこの街に、メイドが営む私設図書館がありました。
そこには書架を守る司書メイドがいます。ほんわりおっとりした司書メイド ミソノに、淡い思いを抱くメイドもいるようです。
今日はミソノからメイドへ、本をおすすめするようですよ。
レイラさんは街を歩いているときに、建築物が気になった事ってありますか?
「凝った作りの窓ねー」と見上げたりするわね。
最近、街歩きを楽しむ人の中には、建物に付属している“おまけ”を楽しむ方もいらっしゃるようです。
おまけ?
ほら、雨どいばかりを写真に撮ったり、ホウロウの看板が気になったり……。
ああ! ビルのはしっこについている水道の蛇口「外蛇口」とか。いろいろ聞くわねー。ふと目について「あれ……何であんなところに」と思うような出会いをすると、さぞや気になるでしょうね!
異国にも、やっぱりそんなものがあるみたいで……レイラさん、このビルのてっぺんについている建物、何だと思いますか?
表紙にも出ているこれ? ビルの屋上にプレハブが増築されているみたいね。でもそれにしては窓もないわ。
これ、木製なんですって。
うーん、大きな鳥の巣? あ、鳩の小屋かしら!
うふふ。なにかが留まったり、出て行くという部分は当たりですが、残念、この中にたっぷり入っているのは水なんです。
あー! 給水塔ね。ビルの上に水をためているタンクってよく見るけれど、木造ってレトロねぇ。
ニューヨークでは、この木製の小屋の形をしたタンクがたくさんあるんですって。木製だと、気温の変化によって影響を受けにくく、何よりお水がおいしいのだとか。今でも1万個が存在しているとのことなので、現役ですよ!
ふむふむ、100年ほど前にニューヨークに移民船が多く到着するころから作られ始めた、と。あら、作業風景も載っているわ。
この本は子ども向けの写真絵本なので、大きなサイズでたっぷりの写真が見られます。実際の作業風景や、給水タンクの仕組みが載っているのも嬉しいです。添えられている文章は決して長いものではありません。でも、木製給水塔の会社が起業したころの話にも触れられ、現在の情景と過去の成り立ちを重ねて読むことで、異国の給水塔への興味がぐぐっと増します。
わっ、この屋上庭園と木製給水塔の組み合わせの写真、素敵ねー!
そうそう、給水塔を見下ろすアングルの写真もあれこれと! 普段は下から見上げることになる給水塔。上から見ると「こんなにたくさんあるの!」と驚きます。もうほんとに、あっちにもこっちにも!
1つのビルに1つの給水塔と考えると当たり前なんだけど、あらためて写真で見るとこの数……尋常じゃないわね。
たたずまいも、出発前のロケットみたいに鉄骨の足場に支えられている物、近代的なビルの壁にすっぽりと守られている物……と、いろんなバージョンが。新品は木肌の色もみずみずしく、古いものほど外側が黒色になっているのも、その給水塔が過ごしてきた月日を思わせます。
レンガ壁のビルに、木製の給水塔……その向こうの空は淡い色合いで、これは朝焼けかしら。それとも夕焼け?
給水塔写真をじっくり眺めていると、普段は見逃しがちな“おまけ”のある風景が、楽しくなってきます。知らず知らずのうちに日常になじんだ、小さなものの美しさとともに、その下で暮らす人々の様子に想いをはせます。
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