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» 2004年03月15日 00時33分 UPDATE

これぞモバイル版インターネット 〜メッシュネットワークの可能性 (1/2)

インターネットITS協議会の「03合同実験発表会」で、目をひいたのが伊藤忠商事の「車車間通信技術 メッシュネットワーク」。データの「中継」を鍵にした柔軟なネットワーク構築技術だが、その可能性とは?

[神尾寿,ITmedia]

 3月11日から12日まで、名古屋の中小企業振興会館でインターネットITS協議会の「03合同実験発表会」が開催された。この中で、今後のモバイル通信インフラとして可能性を感じさせたのが、伊藤忠商事が展示・実験デモンストレーションをした「車車間通信技術 メッシュネットワーク」だ。

Photo メッシュメットワークのシステム構成イメージ(クリックで拡大)

 メッシュネットワークとは、データの「中継」を鍵にした柔軟なネットワーク構成を指す。図を参照してもらうと分かりやすいが、ユーザー端末(クライアントデバイス)とワイヤレスルータが中継局の機能を持ち、各ノードをP2P接続してメッシュ状のネットワークを構築する。インターネットには、アクセスポイントと呼ばれる基地局からつながることになる。

 通信速度は最大3Mbps、実効で1〜1.5Mbps。技術的には、「QDMA」(Quadarature Division Multiple Access)方式を使う。

 伊藤忠商事の宇宙・情報・マルチメディアカンパニー情報産業部門、ビジネスソリューション部の児玉考雄氏は、「メッシュネットワークでは、自己形成、自己修復、自動負荷分散の3つの機能を柱にしています」と話す。

Photo 伊藤忠商事の児玉考雄氏。「現在、東京青山にも実験用のアクセスポイントやワイヤレスルータを設置しています。携帯電話などと比べ、基地局整備が簡単なのが特徴ですね」

 自己形成の段階では、ユーザー端末とワイヤレスルータが自動的に周囲のメッシュネットワーク端末を探して、ネットワークを作っていく。インターネットに接続する場合は、出入り口となるアクセスポイントに「どこかの端末かワイヤレスルータがつながればいい」のがポイントだ。

 自己修復は、メッシュネットワークの構成が変わった時に、瞬時に中継ルートを切り替える機能だ。モバイル端末によって構築されるメッシュネットワークでは、中継ルートになるユーザー端末や、ワイヤレスルータの移動が前提になる。そのため、自己修復機能により、リアルタイムで変わるネットワーク構成に対応する必要がある。

 最後の自動負荷分散は、混雑したアクセスポイントがあった場合、そこに集中するデータを自動的に空いているアクセスポイントまで中継する機能だ。例えば携帯電話では、1基地局がカバーするエリアが厳密に存在するので、ユーザーから離れた場所に空いている基地局があっても「じゃあ、そちらから」というわけにはいかない。しかしメッシュネットワークでは、データが自動的に「混雑を避けて」P2P接続したネットワークを流れていくのだ。

Photo 実験で使われたバス。2台のバスが車車間通信実験するほか、サポート車両1台がついて、路上でメッシュネットワークを構築した
Photo 実験中でも、3台の車両で動的にネットワーク構成が変わっている。ネットワーク監視ソフトで切り替えの様子が見られたが、切り替えはユーザーが意識しない間に、瞬時に行われていた


車車間通信で行われたビデオチャット。実効で1Mbps程度がコンスタントにでており、走行しながらでも途切れずに利用できた(画像をクリックで動画再生)※ISMA準拠のMPEG-4ムービーです(253Kバイト)。再生できない方はこちらからQuickTime Playerがダウンロードできます

高速ハンドオーバーも可能

 メッシュネットワークは、クルマ同士がつながる車車間通信を主なターゲットにしているが、必ずしもクルマだけのものではない。

 「このメッシュネットワークは時速400キロでのハンドオーバー(基地局・中継局の切り替え)が可能です。これは、クルマ向けとして使えることを意味しますが、一方でメッシュネットワークは、ユーザー端末が多いほどエリア密度が上がりますので、マン(人)向けのデジタル機器に組み込まれる可能性もあります」(児玉氏)

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