携帯でも「知り合い系」サービス 〜その可能性

» 2004年04月26日 01時48分 公開
[杉浦正武,ITmedia]

 「知り合い系サイト」という言葉も、徐々にではあるがそれなりに市民権を得てきた。しかし携帯電話で知り合い系サイトがあることを知っているユーザーは、まだ多くないだろう。

 サーチテリアは4月7日から、iモード向けソーシャルネットワークサービス――いわゆる知り合い系サービス「ktst.jp」を開始した(4月7日の記事参照)。しばしば犯罪との結びつきが懸念される“出会い系”サイトとは異なり、既にサービスに参加している友人・知人の紹介がなければ参加できない、クローズドなコミュニティサービスだ。

 PCの世界では、米国でFriendsterなどが人気を拡大しつつあり、国内でも数社が参入し始めた状況。しかし、「携帯電話対応ソーシャルネットワークサービスは世界初」(サーチテリア)という同社取締役の大森拓也氏に、サービスの具体像を聞いた。

「友達」と「ファン」で人間関係を確認

 ktst.jpの概要を知るには、下の画像を見るのが早いだろう。これが、各ユーザーに与えられる「あなたのページ」だ。知り合い系サービスの世界で設けられた“ホームページ”であり、来訪者はここからユーザーの個人情報を知ることになる。

Photo 大森拓也氏のページは、こうなっている
Photo 顔写真の下には、「自己紹介」「友達一覧」などの項目が並ぶ

 トップには、「友達」「友達の友達」「ファン」の人数が表示されている。友達とは、文字通りそのユーザーの直接の知り合いを指すもので、「友達一覧」の項目から確認できる。“友達の友達”については、特に説明は不要だろう。これらを確認することで、そのユーザーの交友範囲を知ることができる。

 ユーザーはここから、友達のページにジャンプし、さらにその友達を訪問する……といった利用が可能。来訪者履歴もとれるため、自分のページを訪れてくれたユーザーを逆訪問することもできる。

Photo 「評判を見る」の項目では、友達がそのユーザーを批評する文章を読むことができる

 面白いのは、「ファン」という概念を設けていること。これは、上記のようにソーシャルネットワークの世界をたどっていって、興味をもったユーザーを“ブックマーク登録”できるシステムだ。

 「ちょっと変わった人を見つけたときや、友達にはなれないけれどカリスマ的な存在の人間をリンクしたい場合などに使う」(大森氏)。当然ながら、自分に何人ファンがついているかも分かるため、人気のバロメーターとして意識するユーザーも出てきそうだ。

名前は「本名が礼儀」

 コミュニティサービスで気になるのは、個人情報の取り扱い。入会時に登録しなければならないのは、「名前」「パスワード」「メールアドレス」「性別」の4種類だ。名前とは別に、ページで利用するハンドルネームもあるが「礼儀として本名は記入しないといけない。それが出会い系とは違うところ」(同)。

 ほかに、追加情報として電話番号をページに記載することもできる。これによって、Phone to機能で相手に電話できるようになる。

 ただ、いくらクローズドなネットワークとはいえ電話番号を公開するのは抵抗があるユーザーも多いだろう。「このため、個人情報を公開するレベルを自分で設定できる」(大森氏)。「友達」にまで公開するか、「友達の友達」にまで公開するか、それ以外にも開放するかを選択できる仕組みだ。

Photo 「許可範囲設定」から、個人情報をどこまでオープンにするか選べる

携帯ならではのメリットは?

 知り合い系サービスを携帯で展開するメリットは何か。ひとつには、パーソナルなツールである携帯電話を“知人を管理する手帳”代わりに利用できるという点がある。

 もう1つは、カメラ付き携帯で撮った写真をすぐにページに掲載できること。写真は、添付ファイルとしてメール送信するだけで自己紹介欄に掲載されるため、ここを頻繁に更新して絵日記にすることもできる。

 「ファイルサイズが大きくても、サーバ側でサイズを変換して掲載する。写真は3枚まで掲載可能で、4枚目以降は古いものから順に入れ替えられる仕組みだ」(同)

いずれは広告モデルで

 今後は、上記のような“疑似日記”ではなく、通常の日記サービスも提供できるよう整備を進めているという。また、友達がビジネスのつながりなのか、プライベートなつながりかが分かるようにするなど、機能強化を図る。

 大森氏は、携帯ではPC版の知り合い系サービスとはユーザー層が変わってくるだろうと予想する。

 「やはり学生などの利用も多いだろう。携帯電話というハードは、にぎやかで、おもちゃっぽいところがある。これをいい方向に持っていければ」

 ktst.jpは全くの無料サービスだ。現時点では、特に広告も入っていない。

 ただし、サーチテリアは携帯向けの検索型広告サービスを提供している。「現状はユーザー数を増やしている段階だが、将来的にはユーザーのプロファイルを把握した上で、ニーズにマッチングさせた広告を掲載していきたい」とした。

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