総務省、HSDPA導入に向け2004年秋にも省令整備へ

» 2004年05月24日 23時59分 公開
[杉浦正武,ITmedia]

 HSDPAの導入に向けた、技術的条件がまとまった。総務省は5月24日、情報通信審議会から「第3世代移動通信システムの高度化方策」で一部答申を受けた。同省ではこの内容を踏まえて、無線設備規則などの規定をまとめるとしており、2004年秋にも省令が整備されると見られる。

 HSDPAとは、3GPPのRelease 5で標準化された新しい通信方式。現在ドコモが2005年の導入に向け開発を進めている(3月3日の記事参照)。技術のカギを握るのは、電波の受信状態に応じて変調方式を変える「適応変調方式」だ。具体的には、受信状態が良い時にエラー耐性は低いが符号化率は高い16QAM(16 Quadrature Amplitude Modulation)といった変調方式を採用して高速通信を実現する。

 答申では、HSDPAの導入に向け第3世代移動通信システムの変調方式に、現行のW-CDMAで使われているBPSK方式、QPSK方式のほかに前述の16QAM方式を追加すべきと示した。また、これにより伝送速度は「上り最高2Mbps程度、下り最高14Mbps程度」になるとまとめている。

 ただし、参考として報告されたHSDPA技術のスループット特性を見る限り、“常時10Mbps以上の通信速度が出る”――といった過度な期待は禁物。

Photo HSDPA技術のスループット特性(クリックで拡大)。セクタ内のユーザー数が1人と仮定した場合のデータであり、ほかのユーザーとの干渉は考慮していない

 上図は、時速3キロ程度で歩行する歩行者(Pedestrian A)を想定した場合のスループット特性。セルの中心である基地局から離れるほど、ユーザーの下りデータ速度は下がる。図では10Mbpsを超えるのはごく限られたエリアだけで、“基地局近辺”(具体的な距離は示されていない)では数Mbpsのレベルに下がっている。セクタ内平均データ速度は、3〜4Mbpsとなる。

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