プレゼン資料は会議室に浮かぶ「バルーン」に──富士通が考える近未来

» 2004年07月06日 22時53分 公開
[中嶋嘉祐,ITmedia]

 富士通は7月7−9日、「ユビキタス社会」をテーマに同社グループの技術などを披露する「富士通ソリューションフォーラム2004」を東京国際フォーラム(東京・有楽町)で開催する。6日は報道関係者に会場を公開した。

 今年は「ショップ」「オフィス」「病院」「データセンター」といったシチュエーション別に、ユビキタス技術の利用風景を再現する。昨年までは販売中の製品・サービスや、新技術そのものをメインに据えていた。今回はこれらを組み合わせた利用シーンを展示することで、同社グループのビジョンや総合力をPRするねらいだ。

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photo ショッピングブースの様子。基盤となる製品・サービスや技術は、利用風景と併せて展示する

 昨年の来場者は、同社顧客を中心に約1万1000人。今年は新聞や電車広告で一般にも告知し、1万3000人の来場を見込んでいる

情報“バルーン”をつかむ時代に

 未来のオフィスでは、書類やノートPCの持ち運びが不要になるという。会議には、携帯端末だけ持ち込めば済んでしまう。

 会議に資料はつきもので、未来もそれは同じ。ただしデスクトップPCで作成したデータをノートPCにコピーしておいたり、プリンタで印刷するなどして持ち込む必要はない。

 その代わり、会議室に浮ぶ“バルーン”に入れておく。バルーン(風船)といっても、実際には見えない仮想のデータフォルダのような存在だ。会議室に入ったユーザーは、バルーンを設置した空間に携帯端末を近づけることでデータをダウンロード。会議室内のノートPCやプリンタ、ディスプレイなどにリモコンの要領で送信し、表示させればいい。

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photo 携帯端末がバルーンの空域に入った様子。端末には位置認識用のセンサーが付く

 このシーンには2つの技術が使われている。

 まずバルーンの設置とデータ受信には「空間情報システム」を使う。天井のセンサーから超音波を送り、GPSと同じ3点測位方式で携帯端末の位置を認識。端末がバルーンの空域に入ると、データが送られる仕組みになっている。

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photo 今回は位置の測位に、超音波の伝播時間を利用。GPS、無線LAN、RFIDによる測位にも対応する

 受信データを端末からノートPC、プリンタなどの機器に送るには「Task Computing」技術を活用する(関連記事参照)。周囲にある機器を自動検出し、受信ファイルの形式に応じた送信先をリストアップ。受信データが文書データだった場合、近くのディスプレイに表示するか、プリンタから印刷するかを携帯端末に表示されたメニューから選ぶだけだ。

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photo 任意のデスクトップPCを自分専用PCに早変わりさせるシステムも展示。携帯端末をデスクトップ横の認証機器に置き、自分のデスクトップ環境をどのデスクトップからも利用できる。アプリケーションの作業途中にデスクトップを乗り換えても、そのままの状態で移動可能という。このほか、ユーザーに一番近い内線に通話を回すシステムなどを展示している(関連記事参照)

近未来のショップはプッシュ型

 「ショップ」のブースでは、RFIDを使ったショッピング風景を紹介する。

 もちろん、未来のショッピングカートはIT武装した「スマートカート」。買い物は液晶ディスプレイで店舗の商品棚の配置ガイドを見ながら行える。カートの通信機能とトレーサビリティシステム、商品に付けたICタグを組み合わせ、生鮮食品の流通経路を確認したり、カートに入れた商品の総額なども分かる。

photo スマートカート
photo 生産者や加工者など、流通経路の情報が分かる

 来店客はまず、携帯電話に入れた自分の情報をスマートカートに伝えておく。例えばネット対応の冷蔵庫から、賞味期限切れが近い食材を使う献立データ──をあらかじめ携帯に入れておく。このデータをカートに伝えれば、カートのディスプレイには他に必要な食材を表示してくれる。

photo 手元にあるクーポンなどの情報もカートに送れる。オススメ商品の情報は店内のサーバから受信

 また店内での客の行動の時系列情報も考慮する。例えば「さっきカートに入れたワインにぴったりのチーズ」といったおすすめ情報を表示するといった具合だ。

 スマートカートでは、無線ICタグに電池を内蔵したアクティブ型を採用している。現在、非接触型ICチップの主流はレシーバーから受ける電波から電源を得るパッシブ型。しかし電源供給のためにはある程度の強さの電波を受信しなければならず、パッシブ型の通信距離は最長約70センチ程度にとどまる。カードなどに組み込むには便利だが、短距離通信で済む用途に限られる。

 これに対しアクティブ型は内蔵電池で駆動するため、最大50メートルと長距離の通信が可能なメリットがある。ブースでは通信範囲を1メートル半ほどに設定。カートを押した客が化粧品売場に近づくと、販売員が過去の購入履歴を参照し、客の好みに合う化粧品を紹介する様子をデモしている。

 富士通の描くユビキタス社会は、決して遠い未来の話ではない。ショップブースで紹介していたアクティブRFIDも既に販売中で、オフィスブースの展示内容は既に実証試験中だ。オフィスブースの担当者は「来年くらいには商用化したい」と意気込んでいる。

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