蛍光灯下での作例だが、ややオートホワイトバランスの補正が十分でなく、赤みが残る写りとなった。蛍光灯独特の緑かぶりは抑えられているので写真としては悪くない。が、ちょっとクセがある写りだ。これはこれでリアルだが、人によってはもっと強く補正したほうが好みかもしれない。シャープネスはけっこう強めで文字もそれなりにくっきり出ている。
次は白熱灯下で撮ってみた。オートだとかなり赤みが強く残ってしまう。これはこれで照明の雰囲気が出ていて悪くはないが、カメラ付きケータイのトレンドは赤みを消してどんな照明下でもホワイトバランスを強く合わせようというもの。
こういう赤みを残した絵が好きな人もあれば、白を白く合わせてほしいと思う人もいる。被写体によっても違う。このへんは難しいが、ホワイトバランスを白熱灯に合わせて撮ったらきれいに色はあった。ホワイトバランスを変えるためにいちいちディスプレイを回して、開いた状態でメニューを出さねばならないのは面倒だが、そういう意味では問題はあまりない。
ではロウソクの灯編へと行こう。
ロウソクの灯りだと炎の赤みが修正されずに残るわけだが、この場合はそのほうが雰囲気があっていい。ただ通常モードではややノイジーで不自然な点もある。ナイトモードのほうがさすがにきれいだ。
ライトを点灯すると、ノイズが目立つもののそれなりに明るく撮れている。
最後はマクロ。ホワイトバランスは白熱灯に固定して撮影した。画質は上々だ。
P900iVはムービースタイルというくらいだから動画機能も充実している。それは歓迎すべきことだ。ただ気になる点がひとつある。
記録先がminiSDか本体メモリかで動画の仕様が変わることだ。圧縮形式自体はどちらもMPEG-4なのだが、miniSD時は最高サイズが320×240ピクセルでASF形式、本体メモリ時は最高サイズがQCIF(176×144)で3GP形式となるのだ(ASFと3GPの関係は2003年6月10日の記事参照)。
パナソニックのほかのMPEG-4動画製品(D-snapなど)とファイル形式の互換性を持たせたのだろうが、撮った映像をPCで見たい一般のユーザーはとまどうだろう。
miniSDに記録したASF形式動画の場合、標準とは異なる音声コーデックを利用している関係上、最初の再生時はPCがインターネットにつながっている必要がある(インターネットを通してコーデックをダウンロードするため)。これには注意したい。
もちろん画質はminiSDへ記録するほうが画像サイズが大きく(320×240)てビットレートも高いぶん、きれいだ。ただ記録媒体によってこれだけ変えるのはどうかとは思う。
なお、ASF形式は扱える端末が限られるが、3GP形式はFOMA端末共通仕様なので、他のFOMA端末でも見たい、あるいはWeb上に置いてほかのFOMAユーザーにも見てほしいという場合は3GP形式が必要だ。そこは理解して使い分ける必要がある。
静止画に関しては1年以上前のP2102Vに比べて明らかにワンランクもツーランクも進歩した。ムービースタイルの使い勝手も非常によくなって、ローアングルやハイアングルの撮影ができるようにもなった。P2102Vに比べると明らかに大きな進歩がうかがえる。
ただいちいち液晶ディスプレイを開いてムービースタイルにするのは面倒といえば面倒で、ムービースタイル時に細かいセッティングができないのももったいない。カメラ付きケータイの機動力を考えると撮りたいときにさっと撮りたいのも確か。
そこは、従来のカメラ付きケータイスタイルのP900iでケータイらしく機動力を生かして楽しむか、ムービースタイルのP900iVでケータイらしからぬスタイルで撮影を楽しむかは人それぞれなので、「自分に合ったものを選びましょう」というしかないだろう。
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