携帯電話の「電波オフモード」を考える(2/3 ページ)

» 2004年10月29日 12時29分 公開
[吉岡綾乃,ITmedia]

さて、日本では……

 電波を発信しない状態であり、それが第三者に分かりやすく示されていれば、携帯電話もノートPCなどと同じ「電波を発信しないものは離着陸時使用禁止」、つまり“離着陸時以外は使ってもよい”電子機器扱いになるのではないか?

 この点を国土交通省にたずねてみると、意外にも答えは「Yes」だった。「基地局に電波を送信していない状態で、それを客室乗務員などに示せるならば、法律(改正航空法)には反しないという見解。法律上は携帯電話も、PCなどと同様に『巡航中(=離着陸時以外で、機体が安定運航している状態)は使用可能』という扱いになるはず」(国土交通省航空局管理部総務課)。

 法律的には、機内で携帯電話を使っても、1)電波を発していない 2)それを第三者に示せる の両方が満たされるならば、50万円以下の罰金は課せられないということになる。しかし担当者は「ただし」と言葉を続けた。

「あくまでもこれは法律上の見解の話。航空会社にとって一番大切なのは、機内のトラブルを避け、安全運航をすること。電波を発しているかどうかの確認が難しく、それが客室乗務員にとって負担になるならば、『機内で携帯電話を使っていいですよ』とはとても言えない」

 米国で統一アイコン策定の動きがあることについての意見を聞いてみた。「携帯電話が機内ではいっさい使ってはいけない電子機器と定められているのは、電源が入っているときは常に基地局とやりとりをしているものだから。電波を出していないということを分かりやすくほかの人に示せるなら、今より誤解を受ける可能性が減るはず。このアイコンのように、誰にでも識別しやすい方法が確立される動きはウェルカムだ」。

あまり知られていない「電波オフ」モード

 ポイントは、電波を発しておらず、それを第三者に示せるかどうかにありそうだ。電波オフモードがある端末はリリースされているが、そもそもどれくらい使われているのだろうか。

 改めて我が身を振り返って見ると、知識として「電波を発しない状態で使える携帯がある」ことは知っていても、今まで一回も使ったことがない。電波を出してはいけないところでは、単に電源を切っていた。「携帯電話を使ってはいけないところで携帯を使っている、と思われたくない」という気持ちもある。

 周囲に聞いてみても、こういったモードを使いこなしている人はごく少数派だ。電源ボタンのように、誰にでも分かる大きなボタンが付いているわけではないし、そもそも自分の携帯に、そういうモードがあるかどうかを知らない人も多かった。

 さらにNTTドコモでは「セルフモード」、auでは「電波オフモード」、ボーダフォンでは「オフラインモード」と、キャリアによって呼び方が違う点も分かりにくさにつながっている。

 キャリアによって電波オフモードへの対応もまちまちで、例えば、NTTドコモの端末では、211iシリーズ以降のPDCや、P2102V、N2051、F2051以降のFOMAが該当するが、KDDIやボーダフォンの端末は、機種によって異なる。音楽プレイヤーやゲームのプレイ時間を伸ばすため、という位置づけの機種もあり、「いろいろある機能の一つ」という扱いになっているのが現状だ。

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