NECとNECエレクトロニクスは、3G端末用LSIを共同開発することで合意したと発表。NECの大谷進執行役員、NECエレクトロニクスの橋本浩一副社長らが記者会見を行った。
両社が開発するのはW-CDMAとGSM/GPRS/EDGEのデュアルベースバンドチップ。高速データ通信を可能にするHSDPA仕様(用語参照)をサポート、通信プロトコルのソフトウェアも盛り込んだ形で開発を進める。開発成果のチップが搭載された端末は、2006年下期に登場する見込みだ。
将来的には、さきにNECエレクトロニクスが発表した携帯電話向けアプリケーションプロセッサ「MP211」(9月27日の記事参照)と「W-CDMAとGPRS/EDGEのデュアルを一緒にしてシングルチップのプラットフォームを開発していく」(NECエレクトロニクスの橋本浩一副社長)計画だ。なお、NECエレクトロニクスとしては初となるGSMチップの開発にあたっては「これまでのノウハウの蓄積に加え、会社の名前は言えないが、あるところと提携している」(橋本氏)としている。
今回の協業は、「互いの強みを生かしてグローバルな競争力のある3G開発を推進する」という目的に基づいたもの。NECの大谷進執行役員は、それぞれの強みについて次のように説明する。「我々には国内向けW-CDMAで培った最先端コア技術、先行開発で蓄積されたノウハウ、新サービスへの対応力があり、3GPPスペックにいち早く対応している強みがある。NECエレは垂直統合型デバイスメーカーならではの先端技術を持ち、ソフトウェアを含めたソリューション提案力を持つ」。
協業によるNECの狙いは、高機能化・グローバル化が進む3G端末を国内外の市場にいち早く投入すること。NECエレクトロニクスは海外3Gの進化に合わせたLSIを開発し、GSM/GPRS/EDGEなどの最適なデュアル化を目指す。開発成果はほかの端末メーカーにも販売、業界標準としての認知を図りたい考えだ。
NECはさきの中間決算で、海外3G事業が不振だったとし、その原因について「3Gプラットフォームの安定化の遅れ」を挙げていた(10月28日の記事参照)。今回の協業は、その改善策の一端を担うものと見られる。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.