Nokiaが通信事業者とコンテンツ開発者をつなぐ〜Preminet

» 2004年11月22日 17時20分 公開
[末岡洋子,ITmedia]

 Nokiaが10月末に発表した「Preminet」(10月25日の記事参照)は、同社がコンテンツ開発者と通信事業者向けに提供する、携帯向けコンテンツ配信プラットフォームだ。

 Nokiaはこれまでも端末開発や販売事業のほかに、Symbianへの出資や(2月10日の記事参照)コンテンツ開発者向け支援サービス「Forum Nokia」(2003年8月の記事参照)の提供を行うことで、端末シェアを維持してきた。Preminetは携帯を使ったデータ通信利用が本格化する中、シェア拡大を目指すための最新の取り組みとなる。

携帯コンテンツの多様化で、“仕切る存在”が必要に

 日本では、携帯コンテンツの概要やサービスの仕様決め、課金システムの提供、端末規格の策定に至るまでを通信キャリアが主導している。この方法が迅速な端末開発やサービスの導入につながり、iモードやEZweb、ボーダフォンライブ!などの成功を生んだことはご存じの通りだ。

 しかしNokiaをはじめ、Sony EricssonやSiemensなど端末メーカーの本拠地がある欧州では、端末ベンダーとオペレータとの関係が日本とは異なる。SIMカードの普及により、端末購入と通信事業者との契約が別々に行われることが多いという背景から、端末メーカーが日本の端末メーカー以上に独立性を持っているからだ。欧州市場では、コンテンツ配信事業の活性化に伴い、通信事業者と端末メーカー、コンテンツ開発者との間を取り持つ役割をどこが担うかが課題になっていた。

 欧州市場に変化が見られるようになったのは、データからの収益を得たい通信事業者が日本に学び、自社ポータルなどのブランディングを強化しはじめた2〜3年前のことだ。例えば最大手のVodafoneは、シャープなどのアジア系端末メーカーと組み、自社ロゴを付けた端末と同社のインターネットサービス「Vodafone live!」をセットにして自社のショップで提供している。

オペレータとコンテンツプロバイダの間をNokiaが取り持つ

 携帯電話市場にはこれまで以上にさまざまな企業が関わるようになり、各社の関係は複雑になっている。こうした状況下でスマートフォンや3Gを普及させるには、コンテンツプロバイダ(アプリケーション開発者)と通信事業者との協調関係が不可欠。Preminetは、Nokiaが両社間のマッチメーキングを買って出たサービスといえる。

 Preminetの仕組みは次のようなものだ。通信事業者は、コンテンツカタログの「Preminet Master Catalog」から、動作検証済みのゲームなどのアプリケーションを探すことができる。迅速にポータルやカスタマイズ画面を提供でき、面倒な取引上のやりとりも軽減される。コンテンツはWAPやWeb、SMSを経由して、GSMやCDMA端末への配信が可能。開発者側のメリットは、開発したアプリケーションを手間や資金をかけることなくオペレータにアピールする場を得られることだ。

 Preminetの仕組み

 PreminetはSymbian OSとJavaをサポートし、著作権管理面では、Open Mobile Alliance(OMA)のDRM 1.0仕様をサポートする。Nokiaによると、現在、携帯電話向けコンテンツの主流はゲームと着メロで、スケジュール機能などビジネスに関するものが少しずつ増えているという。

 開発者は無料で参加でき、オペレータは有料。Nokiaは“ディストリビューションマージン”として、取引発生時に約10〜15%のコミッションを得る。最大の狙いは、こうした仕組みを間接的に同社のSeries 40やSeries 60の端末売り上げにつなげることだ。

 Nokiaは開発者向けプログラムとして既に、Forum Nokia(8月28日の記事参照)や、Sun Microsystemsらと立ち上げた認定プログラム「Java Verified」(6月5日の記事参照)で支援を行ってきており、Preminetはそれを拡大したものだ。今年2月のJava Verified立ち上げの際、発表会に列席したJavaゲーム開発会社の担当者も、「アプリケーションの認定だけでは不十分で配信が課題」だと指摘していた。

 このビジネスモデルは、CDMA陣営を率いる米Qualcommの「BREW」が提供するコンテンツ配信システムに似たものといえる(10月25日の記事参照)。同社コーポレート・コミュニケーション部門メディアリレーションズ担当マネージャ、チャールズ・チョップ氏は「BREWに対抗するものか? と聞かれれば、イエスだろう」とコメントした。

 違いはオープン性だと同氏(2002年8月の記事参照)。「BREWはクローズドなモデルだが、Preminetはオープンかつ柔軟性があるソリューション」(チョップ氏)。

 PreminetによりJava開発者はBREWと同じようなコンテンツ配信プラットフォームを手に入れられることになる。立ち上げて間もないPreminetだが、Preminet Master Catalogでコンテンツ販売大手のHandangoと提携するなど、補強を進めている。同社の思惑通りオペレータと開発者をつなぐことができるのか、それを収益につなげることができるか──が注目される。

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