PDFも統合〜「携帯ブラウザはコアエンジンになる」ACCESS

» 2004年11月22日 23時57分 公開
[杉浦正武,ITmedia]
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 ACCESSが、携帯ブラウザの“コアエンジン化”を進めている。11月19日に開催された「ACCESS DAY 2004」では、この傾向をはっきり確認することができた。

 同イベントのオープニングセッションで、ACCESS副社長兼CTOの鎌田富久が紹介した同社のビジョンを確認しよう。

HTMLメールの裏で動くブラウザエンジン

 ブラウザに、HTMLページのみならず各種フォーマットのデータを解釈して表示させる。それが鎌田氏が描くビジョンだ。

 同社の提供する組み込み向けブラウザ「NetFront」シリーズは、ドコモの携帯電話などに多く採用されている。そのNetFrontは既に、“単機能のブラウザ”としての役割を超えた働きをしていると同氏は説明する。

 「気付いていないかもしれないが、HTMLメール(ドコモのデコメール)では裏でブラウザが動いて表示を行っている。EZチャンネルではSMIL(Synchronized Multimedia Integration Language)を利用し、データを時間軸で同期させてテレビ的に見せているが、ここでも裏でブラウザエンジンが動いている」。

Photo NetFrontのアーキテクチャ(クリックで拡大)。ブラウザはコアシステムとして存在し、これをさまざまなアプリが利用している

 NetFrontはさらに、画像表示や動画再生などさまざまなリッチメディア機能をプラグインとしてブラウザプラットフォーム上に統合できる。会場では、地図描画などに使われるSVG、音声でコンテンツを操作できるVoiceXML、およびPDFビューワといった機能をブラウザの拡張機能として用意する考えが話された。

 「来年になると、こういった話が増えると思う」

ACCESSとAdobeで共同開発

 PDFでは、ACCESSはAdobe Systemsと手を組んでいる。携帯電話やネット家電向けのAdobe Readerを両社で共同開発して、市場に提供している段階だ。既に「Nokia 6670」やソニーの無線TVなどで採用例がある。

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 会場には、Adobe SystemsのCEOであるブルース・チゼン氏が登場。この2年間、ACCESSと協力関係を深めていると話した。

 「ノンPCの世界が始まりつつある。ネットにつながるモバイル端末が増えており、ネットにつながるPCを超える日もくるだろう。例えば、東京の地下鉄でPDFの地図をダウンロードするような使われ方も考えられる」(チゼン氏)

地上デジタル向けブラウザも

 ACCESSはまた、地上デジタル放送への対応も進めている。

 既にNetFront v3.0でDTVプロファイルに対応しており、Flash、Helixクライアントなどの各種プラグインと統合可能。携帯用ブラウザをベースにした、1セグメント放送向けブラウザも開発しており(7月26日の記事参照)携帯コンテンツ(HTML)とデータ放送コンテンツの両方を閲覧可能になっている。

 1セグのほうは、携帯向けWebブラウザと共通部分をシェア可能。2005年末の商用化をターゲットに、試作開発を行っている。XHTMLとCSS、ECMAscript(JavaScript)に対応し、携帯電話上のほかのアプリとも連携できるという。

Photo ACCESSが思い描く、「多岐にわたるソフトウェアモジュールを統合した」次世代のトータルソリューション製品。PTT(Push-to-Talk)などに利用される「Push-to-X」エンジンも搭載している

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