iPod miniに20Gバイト版が登場?――HGSTのHDD高密度技術

» 2005年04月05日 16時12分 公開
[渡邊宏,ITmedia]

 日立グローバルストレージテクノロジーズ(HGST)は、垂直磁気記録技術を採用した大容量HDDを2005年より市場へ投入すると発表した。この技術を用いることによって、1平方インチあたり230Gビットの記録を行うことが可能になり、3.5インチHDDで1Tバイト、1インチHDDで20Gバイトという記憶容量を実現する。

 垂直磁気記録方式は磁石をディスクに対して垂直に配列して記録する方式。従来の記録方式である面内記録方式に比べ、面密度が向上することによって、同一のサイズでも記憶容量をアップさせることが可能になる。

photo 垂直磁気記録は磁石のS極とN極を互い違いに並べることになるために安定した高密度記録が可能だという

 同技術を搭載した100Gバイトの2.5インチHDD(4200rpm、ATAインタフェース、2プラッタ構成)はすでに昨年12月からフィールドテストに入っており、今年中には120Gバイトの容量を持つ製品として市場へ投入される。価格についても、現在の価格容量比から大きく外れることはないようだ。

photo 現在テストが行われている垂直磁気記録技術を投入した2.5インチHDD。外観からは違いはまったく分からない

 まずは2.5インチHDDから製品が投入されるが、3.5/1.8/1.0インチの各製品にも垂直磁気記録技術が投入される。「まずは2.5インチから製品化し、技術の確立が進んだところでほかのサイズへも導入を進める」。同社 シニアディレクタ ワールドワイド アドバンストテクノロジ ラボラトリの高野公史氏は、具体的な製品化の時期については明言を避けたものの、2.5インチHDD以外の製品についても前向きな姿勢を示した。

photo 同社が今年のCESにてお披露目した小型の1インチHDD「Mikey」(マイキー)。今年後半に8G〜10Gバイトの容量を持つ製品として出荷される予定だが、「面内記録と垂直磁気記録、双方の可能性を模索している」(同社)

 近年、HDDレコーダーや音楽プレーヤー、ビデオカメラなど、PC以外へもHDDの搭載が進んでいるが、同社では、2008年ごろにはさらにその搭載が進み、HDD市場全体においても情報家電向けが出荷全体の30%を占めるほか、マイクロドライブやカセット式HDD(iVDRなど)の外部ストレージ向けが10%を占めると予想している。

 発表された技術を用いることによって、1インチのマイクロドライブでさえも20Gバイトの容量を持つことが可能になることから、「コンシューマ市場で期待される“小型/大容量”を武器に切り込んでいきたい」と高野氏は意気込みを語る。

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

アクセストップ10

2025年12月06日 更新
  1. 飲食店でのスマホ注文に物議、LINEの連携必須に批判も 「客のリソースにただ乗りしないでほしい」 (2025年12月04日)
  2. NHK受信料の“督促強化”に不満や疑問の声 「訪問時のマナーは担当者に指導」と広報 (2025年12月05日)
  3. 「スマホ新法」施行前にKDDIが“重要案内” 「Webブラウザ」と「検索」選択の具体手順を公開 (2025年12月04日)
  4. 三つ折りスマホ「Galaxy Z TriFold」の実機を触ってみた 開けば10型タブレット、価格は約38万円 (2025年12月04日)
  5. 楽天の2年間データ使い放題「バラマキ端末」を入手――楽天モバイル、年内1000万契約達成は確実か (2025年11月30日)
  6. 「楽天ポイント」と「楽天キャッシュ」は何が違う? 使い分けのポイントを解説 (2025年12月03日)
  7. 楽天ペイと楽天ポイントのキャンペーンまとめ【12月3日最新版】 1万〜3万ポイント還元のお得な施策あり (2025年12月03日)
  8. ドコモが「dアカウント」のパスワードレス認証を「パスキー」に統一 2026年5月めどに (2025年12月05日)
  9. NHK ONE、簡単には「閉じられないメッセージ」表示へ 目的は“NHK受信料”の徴収 なぜ強引な仕様に? (2025年11月12日)
  10. 鉛筆デザインのiPad用スタイラスペン「Nelna Pencil」発売 物理ボタンに9機能を設定可能 (2025年12月03日)
最新トピックスPR

過去記事カレンダー