セキュリティ用途の指紋センサーやメインディスプレイの明るさを調整する光センサーなど、携帯電話にはさまざまなセンサーが載っている。
2007年以降に3G携帯へのGPS搭載が必須になること(2004年5月の記事参照)から注目を集めているのが“加速度+地磁気”センサー。全ての携帯電話にGPSが搭載されることになれば、ナビサービスにも差別化が必要になる。この“2007年問題”を目前に控え、次世代ナビサービスを模索する動きが始まっているわけだ。
先日開催された「Sensor Expo Japan 2005」でも、愛知製鋼と旭化成グループが、“加速度+地磁気”センサーを展示、用途や今後のロードマップを示していた。
愛知製鋼の“加速度+地磁気”センサーはボーダフォンとの共同開発によるもので、“振って操作”できる「V603SH」に搭載された実績がある。
3軸の地磁気センサーと2軸の加速度センサーをワンチップ化したのが特徴で、地磁気センサーにはMI素子を使っている。「他の素子を使った地磁気センサーに比べて、精度が1万分の1と高い。消費電流が少なく、温度によって変化しないので、携帯電話に向いている」(愛知製鋼の説明員)。来年には3軸の地磁気センサーと3軸の加速度センサーをワンチップ化した製品を開発予定だという。
電子コンパスを開発する旭化成グループも、今秋にも量産を開始する3軸加速度センサーインタフェース付きの電子コンパスを出展。来年には3軸加速度センサーも含めてワンチップ化した製品をリリースする予定だ(4月8日の記事参照)。
一見すると分からないようなところにも、センサーが入っていることがある。旭化成のブースには2つのセンサーの実装例が展示されていた。1つはドコモのNEC製FOMAに搭載されているニューロポインター。磁石の入ったポインターの周りに4個のホール素子を設置、「ポインターの傾きに応じて起こる出力の大小関係の組み合わせを信号処理して、ディスプレイ上に反映させている」(説明員)
もう1つはスイッチ式のホールIC。折りたたみ端末は、閉じるとメイン液晶への電源供給が止まるなど、省電力処理が行われるが、これを制御しているのがホールICだ。端末が閉じると接触する部分の片方に磁石を入れ、もう一方にICを搭載。「IC側が磁石がくっついたと判断すると、省電力処理を行う仕組み」(説明員)。
今後の携帯電話への搭載が期待されるのが、インターリンクの感圧センサー「FSR」だ。0.2ミリと薄く、曲面に取り付けてもセンサーが反応するのが特徴。基板と分離して実装できるため低コストで済む点や消費電流が少ない点もメリットだという。
「圧力の変化も取れるため、FSR経由で感情を表すこともできる。アプリと組み合わせることで、携帯のインタフェースをもっと使いやすいものにできる」(説明員)
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